誰でもできる指ヨガのムドラについて調べてみました【仏像にも様々な手の表情がある】
ムドラというとジェスチャーという意味だそうだ。手のポーズ。手を開いたり指を結んだりする。ムドラの専門家ではないので興味を持って調べてみたという程度だが仏像との共通点がとても興味深い。サンスクリットでは、リングやコインの意味もあるが、一般にムドラーが重宝されるのは心と体のバランスをとるものとしてだ。ナチュロパティとかアユルベーダでも注目されている。仏像の手が作る形は「手印」とか「印相」とかいう。手や指で形を作るシンボル、ジェスチャー。
手の形には種類がたくさんある。ムドラーの意味を知るとよりヨガの哲学を理解できるともいわれる。手の指それぞれに意味があると考えられいる。その指を使って形を作る。ヨガのポーズと組み合わせることもある。瞑想効果や、エネルギーの通り道と言われるチャクラを開く。 集中力をアップし、プラーナという生命エネルギーの流れをよくするハンドジェスチャー。
指の意味にはさまざまなものがある。
親指:「火」変化やエネルギー、浄化。人差し指:「風」動き。中指:「空」空間。薬指:「地」形。小指:「水」:流れと結合。違うバージョンもある。親指:ブラフマン(梵・最高原理)人差し 指:アートマン(自我・真我)中指:サットヴァ( 明るい。調和。純質。)薬指:ラジャス(活動的。激質。)小指:タマス(動きのない。暗質。)
古代インドではムドラーは精神を表すとも聞くが、言語や表情以外に表現の方法があってもおかしくはない。
有名なのは、チンムドラ。親指と人差し指を合わせて輪を作る。人差し指(自我)と親指(最高原理)が結びつく。ヨガの究極的なゴール「梵我一如」を表す。エネルギーが身体を循環し出て行かない。 チン(Chin)とは意識を意味する。ジニャーニャムドラ(Jnana Mudra)ではチンムドラと同じように親指と人差し指を合わせ輪を作るが手のひらは下に向ける形。瞑想の際に膝にのせる。人差し指の爪を親指の腹につける。
アンジャリムドラーは両手の平を合わせた合掌の印。日本人は「いただきます」「ごちそうさま」の時や寺社参拝のときに合掌する。ナマステムドラーともいう。アンジャリは「合掌」の意味。神仏などに対して敬意を表す。右手の(陽、 浄)と左手(陰、 不浄)を合わせ調和させる。気持ちが安定する。額や頭の前でも両手を合わせる。両手を脚の上で重ねるのはブラハムムドラー。右手が上の時は男性的なエネルギーが強く、左手が上にくると女性的なエネルギーが強くなるともいう。ロータスムドラーは手で花を作る。手首と親指同士と小指同士を合わせる。蓮は泥の中で美しい花を咲かせる。力強くたくましく美しい。
アンジャリムドラーは自分自身・自己と全ての物を統合する。ムドラを組み呼吸を深め、体に意識を向ける。手に力をいれず手のひらの中央に少し空間を残すようにするとよいといわれる。
インドには病人の症状に合わせて薬のようにムドラを処方する「ムドラティチャー」がいる。手のポーズを取るだけで、様々な不調や病気の症状に効くとされる。
免疫力を高めるといわれるプラーナムドラ親指の先と薬指・小指の先をつけ人差し指と中指は軽く伸ばす。呼吸が深まるブラマラムドラは人差し指を親指の付け根まで曲げて隙間が出来ないようにして親指の腹を中指の爪の人差し指側の側面に添える。薬指・小指は軽く伸ばしておく。鼻炎、鼻詰まりを緩和するともいわれる。
ムドラ瞑想カードというものもある。カード占いの幅を広げる。
手印は手の指で印を結ぶこと。またその指の形。仏・菩薩の悟りの内容や誓いを象徴する。契印。印。
密教では仏・菩薩の真実なることや虚妄(こもう)なきことを証する深い意味がある。
印相はサンスクリットのムドラーの漢訳。仏像が両手で示す象徴的なジェスチャー。鎌倉大仏のように両手を膝の上で組み合わせるもの、奈良の大仏のように右手を挙げ、左手を下げるものなど決まったパターンがありそれぞれの印相には教義的な意味があり仏像が何であるかを知る材料にもなる。
主な印相。施無畏印(せむいいん)(Abhayaアバヤ・ムドラー)は手を上げて手の平を前に向けた印相。漢字の示す意味通り「恐れなくてよい」と相手を励ますサインである。与願印(よがんいん)(Varada)は、手を下げて手の平を前に向けた印相。坐像の場合などでは指先側を下げるように傾けて相手に手の平が見えるようにする。相手に何かを与える仕草を模したもので宝生如来などが結ぶ。施無畏与願印(せむい よがんいん)は右手を施無畏印にし、左手を与願印にした印。信者の願いを叶えようというサイン。与願印を示す左手の上に薬壷が載っていれば薬師如来。
定印(じょういん)(Dhyna)坐像で両手の手のひらを上にして膝上で上下に重ね合わせた形。仏が瞑想に入っていることを指す。釈迦如来、大日如来の定印は左手の上に右手を重ね、両手の親指の先を合わせる。法界定印という。
手の表情としてのムドラーはインド舞踊やインド古典劇でも用いれる。ケララ地方に伝承されるモヒニアッタム、カタカリ、クーディアッタム、は24の基礎となるムドラーがあるバラタナティアムは28(もしくは32)オディシィは20。サニュタは両手で同じムドラーをつくる。アサニュタは片手のみ。ミスラは左右の手で異なる。手の仕種を全身の表現や顔の表情と組みあわせる。装飾的につかわれることもある。
以前から、人類はなぜ文字や言葉でしかコミュニケーションができないのだろうかと思っていた。ボディ・ランゲージなる言葉にもこだわったことがある。仏像にも様々な手の表現や表情があるのは興味深い。