インドの宝石:エメラルド

頭から足のつま先まで豪華に着飾るインド・ジュエリー。インド産というと品質の悪い宝石と思われがち。透明感の無い低品質なインドスタールビーやガーネット、ムーンストーンなど安価な石が大量に採れるということだけが知られているから。世界一といわれるのはダイヤモンドとサファイア。
レアストーンの記述がまとまっていたので抜粋。ダイヤモンドの採掘は古くから行われていた。カットできるようになったのは15世紀。初期のブリリアントカットは17世紀、完成されたのは20世紀。1725年にブラジルでダイヤモンドが発見されるまで世界で最も古く重要な産地だった。ホープ・ダイヤモンドやドレスデン・グリーンダイヤモンドはインド産。
ホープ・ダイヤモンドは45.50カラットの濃いサファイヤブルーの石。ダイヤモンドを所有した者が次々に不幸な目に遭うという伝説で知られる。110カラット以上あった原石を67.50カラットにカットされフレンチ・ブルーダイヤモンドと名付けられ、その後リカットされ現在の大きさになった。ヘンリー・トーマス・ホープというイギリスの大富豪が買い取り永年コレクションになっていた。ハリー・ウイストン社が入手しスミソニアン自然史博物館に寄贈した。
ドレスデン・グリーンダイヤモンドはアーモンド形にカットされた41カラットの明るいアップルグリーンの石。この色をしたダイヤモンドは世界に一つしかないという。
カシミール・サファイアはジャム・カシミール州ザスカルで産出。5000メートルの高地で深い雪に覆われ産出量が少ない。コーンフラワー(矢車菊)カラーと呼ばれる明るくて濃い純粋なブルー。強い光を当てると乳白色の光が浮き上がるヘイジー効果。
ルビーも有名。カルナタカ州のコラールという所で採れるルビーは大粒でアステリズム効果(スター効果)が非常に良く出る。インドスタールビー。多くは紫色を帯びた暗赤色で透明感が悪い為に世界で最も安価なスタールビーとされてきた。日本ではルビーではなくバイオレットスターサファイアに鑑別されてしまう石も有る。
クリソベリルや、その変種のアレキサンドライト、クリソベリル・キャッツアイも採れる。アレキサンドライトはスリランカ産より品質の劣る石が多い。クリソベリルはレモンイエローの石が有る。ベリルのエメラルドやアクアマリン、長石グループのムーンストーンやサンストーン、クオーツグル-プのグリーンアベンチュリンやタイガーアイ、ブラッドストーンなどが採れる。

引用。南インドとスリランカには,原生代後期からカンブリア紀前期のゴンドワナ超大陸の形成に伴って生成したグラニュライト相変成岩類とペグマタイトが分布し,ペグマタイトやそれに由来する河成砂礫層から種々の貴石・半貴石が採掘されてきた.これらの地域の表層部にはラテライトが厚く分布し,カオリナイト,ギブサイト,バーミキュライトなどの風化生成粘土とそれらが集積した新生代堆積性粘土鉱床が存在する.

引用。インドUttar Pradeshのめのうおよびめのう研磨工業:本省南部のBandaの縞状めのうは主としてKen川の砂礫として産し,デカン高原の玄武岩に由来するものである。苔めのう,モカめのうなどの樹枝状も産し,Bandaの研磨工の特産品となっている。またKarviの東Khoh丘からも種々の色調をもつ縞状めのうが下部Vindhyan層より産する。これは再結晶作用の証拠を示し,交代作用をうけたものと考えられる。
エメラルドはベリル(緑柱石)の一種。和名は、翠玉、緑玉である。内部に特有の傷が無数にあり、これが天然ものの標識ともなっている。エメラルドは天然には良質の石がほとんど産しないため、かなりの傷物も宝石として流通させることが一般に認められている。オイルや樹脂に浸すなど化学的処理を施して傷を隠したり、石の耐久度を高めたりする。黄緑色をした石もある。加熱処理によりアクアマリンへと変色させることができる。
モース硬度ではかなり硬い石だが、内部に多数の傷を抱えていると云う結晶の性質上、衝撃に極端に弱い。指輪の台に取り付けるだけで割れることさえあり、職人泣かせの石とされる。エメラルドカットと呼ばれるカットがされることが多いが、これは屈折率がダイヤモンドのように高くなく、ブリリアントカットを施しても屈折率の高い石に特徴的な煌き(ファイア)が見られないため。コロンビアが最大の産出国である。
エメラルドの語源はサンスクリット語で「緑色の石」を意味する「スマラカタ」にある。古フランス語で「エスメラルド」に変化し現在の「エメラルド」と言う呼称になったとされる。エメラルドの歴史は古く、世界の4大宝石にも数えられている。ローマ帝国時代のプリニウスの「博物誌」では、ダイヤと真珠に次ぐ、第三位の宝石とされており、皇帝ネロはエメラルド製のモノクルを所有していたとの言い伝えもある。ポンペイなどローマ帝国時代の遺跡からはエメラルド製品がよく出土する。エメラルドは、ギリシアやローマでは、占星術の影響でヴィーナスに捧げられていた。ユダヤの伝説ではソロモン王が神から授けられた宝石の中に、エメラルドが入っていたという。
サンスクリットの医術では、エメラルドは解毒のほか、下剤、消化を助ける、等の効果があるとされていた。ペルシアやアラビアの聖者たちも、解毒のほか、てんかんを治す、肝臓病やらい病に効くなど万能薬扱いしていたという。ヨーロッパでは、蛇がエメラルドを凝視すると目が見えなくなるという古くからの言い伝えがある。中世では、エメラルドに未来を予言する力があるとされ、また、女性の貞節を守り夫の愛を保つとされていた。現在では5月の誕生石とされている。

モーグルムガールエメラルドは最大のエメラルド知られている。217.80カラット。「The Mogul Mughal。長方形にカットされナスフ体の文字でシーアの呼び出しが刻まれた。葉状の装飾が全体に刻まれた裏側。ポピーが側面にあり、中央のロゼット花。両側に3つの小さなケシの花のライン。もともとはコロンビアで採掘されたが、ムガル帝国の支配者がエメラルドを強く望んでいたインドで販売された。
Mogul Mughalは、6番目の皇帝アウラングゼーブの治世内にある日付-1107 AH(1695-1696 AD)の記述。ムガールの支配者はスンニ派だが碑文にはシーア派の名前。2001年9月27日に、Christie’sから1,543,750ポンドで販売された。

インドは古くから宝石の産出国として知られる。マハラジャやマハラニの絢爛豪華な宝飾品の数々。

金とよく合うエメラルド、ルビー、サファイアの緑、赤、青。