【ニュースメモ】 COP26

二酸化炭素排出1位中国と4位ロシアが不参加の中、注目を集めたのはインドだ。地球温暖化防止対策を議論する国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が2021年10月31日、英スコットランドのグラスゴーで開幕した。3位のインドは今や排出大国となった。12日までのCOP26の焦点は、各国の首脳が世界の平均気温の上昇を産業化前と比較して1.5度に抑える具体策について踏み込めるかどうか。
習近平国家主席は、昨年1月のミャンマー訪問を最後に海外を訪れていない。中国は史上最悪の電力難で石炭の輸入を拡大中。プーチン大統領も欠席した。インドは、気候変動を招いた炭素排出は多くが経済発展を遂げた欧米先進国が排出したと主張してきた。世界最大産油国のサウジアラビア、世界最大石炭輸出国のオーストラリアも化石燃料の削減に反対。パリ協定の際に決まった気候変動で被害を受ける開発途上国を支援するための年1000億ドル規模の気候基金助成の行方も危ぶまれる。

COPは、気候変動に関する国際社会の最高意思決定機関で1995年から毎年開催されてきた。2015年、パリで開かれた第21回会議の合意について各国は5年ごとに自国の温室効果ガス削減目標を発表するとしたが昨年は新型コロナウイルスで目標を提示できなかった。
こうした中で、インドのモディ首相は首脳級会議初日の1日、2070年までに温室効果ガス排出の実質ゼロを目指すと表明した。インドが実質ゼロを掲げたのは始めてだが、ずいぶん先のことだ。50年までとしている日米欧などの主要先進国に比べ問題の先送りともいえる。インドは、カーボンニュートラルという考えそのものにあまり積極的でない。約束をさせられるのは嫌いな国だ。むしろ先頭に立ち立ちのだろう。中国やロシアは60年までの達成を主張。

モディ首相はインドの人口は世界の17%を占めるが排出量は5%にすぎないとしている。先進国が電気自動車(EV)や再生可能エネルギーなどで途上国を経済的に支援しなければ削減は達成できない。経済協力開発機構(OECD)によると19年時点の支援額は800億ドルに満たない。

2021年9月には、アメリカで気候変動問題を担当するケリー特使がインドを訪問。バイデン政権との足並み調整。ケリー特使は13日、ニューデリーで演説し「2050年までに排出量を実質ゼロにしなければならない」と述べた。インドは2030年までに再生可能エネルギーの発電容量をおよそ5倍に増やすとしているが、増やすものはあっても減らすものはない。

インドに迫る電力危機で石炭は最高値を更新している。世界的な石炭価格の上昇で電力不足への懸念が広がっている。石炭火力発電所の半数以上で燃料の在庫が3日分を割り込んでいると報じられら。中国に続いてインドでも電力不足が深刻化すれば混乱に拍車をかける恐れがある。

インドでは電源構成に占める石炭火力発電の割合が約7割にのぼる。新型コロナウイルスの感染者が減り、経済活動の再開で、産業界向けの電力需要が急増。インドは中国に次ぐ世界2位の石炭輸入国。インドネシアやオーストラリアなどから石炭を輸入している。コロナ禍からの経済正常化でアジアでの消費が増え天然ガスの高騰を受けて欧米で代替的な需要も増えた。9月の豪雨による減産で政府系の石炭大手コール・インディアが約8割を占める国産石炭の供給は輸入石炭の不足を補えていない。金属やセメントメーカーなどへの自家発電向けの供給が減り、アルミニウムの事業者団体は石炭の持続的な供給を求めた。

8月15日の独立記念日にモディ首相はレッドフォートで8回目の演説を行った。独立75年、コロナ後世界の地図を描く際の羅針盤はエネルギーの自立。「独立から100年を迎える前に、インドをエネルギー面で自立させる。モビリティの電動化が進みインド鉄道の100%電化が進められている。私は「国家水素ミッション」を発表する。インドをグリーン水素の生産と輸出のハブにする」。2030年までに450GWの再生可能エネルギーを導入するという目標を掲げた。インフラを強化し、雇用創出を実現する。約1.3兆ドル規模の国家インフラ基本計画「PM Gati Shakti Plan」を発表し、鉄道に関しては75週間後に75路線が開通されるとした。

パリ協定でソーラー同盟を立ち上げ、世界を驚かせたインド。エネルギーはインドの大国外交の重要な切り札だ。