新型コロナウイルスの全土封鎖でインドの川もきれいになったというけれど

新型コロナウイルスの全土封鎖でインドの川もきれいになったというけれど

インドのガンジス川はウイルスのシャットダウン中に浄化されているのか。ガンジス川はプラスチック廃棄物などの年間12億トンの排出源で世界的にも最悪2位の状態となっており環境団体が改善を呼びかけていた。モディ首相も浄化計画を進めていた。36のモニタリングポストのうち、27ポイントの水質が沐浴や野生生物などの繁殖に適していることがわかったとのこと。タージマハル脇を流れるヤムナ川の問題はインドにいたときから問題となっていた。大気汚染の方は改善したので月明りのタージマハルは美しいが、川のゴミは夜には見えない。ヤムナ川は改善したというがガンジス川はヒマラヤの起源から約2,525キロの長さがある。ガンジス川とその支流であるヤムナ川沿いの都市では、推定11,625トンの固形廃棄物が発生している。プラスチックごみの排出口になっている。国連環境計画(UNEP)は、日本政府からの財政的支援でガンジス川と支流に関する調査を行っている。

ガンジス川はインドでは神様。ヒンドゥー教のテキストで女神とされる。川で水浴びをすることで罪から解放される。愛する人の灰をまき散らすことで魂が安らかに眠れると信じる。ヒンディー語やサンスクリットではガンガーはヒンドゥー教の川の女神の名。固有名なのでガンジス・リバーとは言わない。
インダス文明が崩壊後、先住のドラヴィダ人にかわりアーリア人がガンジス川流域に住み着いた。
十六大国と呼ばれる諸国が互いに覇権を競うヴェーダ時代の後期にガンジス川は神聖な川とななった。マガダ国がコーサラ国を破ってガンジス流域を統一。マウリヤ朝はアショーカ王の時代にインドをほぼ統一し、初の統一王朝となった。バラモン教を批判した仏教やジャイナ教も生まれていた。
王朝分立の後、グプタ朝が再びガンジス流域を統一した。あとはムガル帝国から東インド会社を経て下流域はバングラデシュとなった。
 ガンジス川の水源はヒマラヤ山脈の南麓ガンゴートリー氷河で氷河の下から雪解け水が音を立てて流れ出している。牛の口と呼ばれる。上流では狭いヒマラヤの峡谷を南下し、リシケシュで断崖からハリドワールを経て大河となる。ガンジス平野と呼ばれる北インドの平原地帯は穀倉地帯となっており、アラハバードで最大の支流ヤムナ川と合流する。ヤムナ川はガンジス川よりも流量が大きい。
ガーグラー川とヤムナ川にコシ川。北のヒマラヤ山脈からの網の目のように支流の水を集め下流ではチベット高原から流れてきたブラフマプトラ川と合流しベンガル湾へ流れ込む。デルタ地帯は世界遺産に登録される世界最大級のマングローブ林でベンガルトラの生息地。

 デリーと他の13のインドの都市は、世界で最も汚染された20のリストに載っている。毎年、100万人以上のインド人が大気汚染関連の病気で亡くなっていると推定されている。工場の煙、車の排気ガス、ゴミや焚火、建設や道路のほこり。2017年から2019年の間に、首都のPM2.5の月平均は最大4倍高くなった。

中央汚染防止委員会(CPCB)の報告によると、新型コロナウイルスの発生に伴う封鎖で全国の大気汚染は劇的に減少したがガンジス川の汚染はそれほど減少していないとのこと。CPCBのレポートによると、その他の2つの測定値、BOD(生物的酸素要求量)とCOD(化学的酸素要求量)はどちらも「わずかな削減」にとどまる。CPCBは封鎖の1週間前と数週間後のウッタルプラデシュ州と西ベンガル州の36か所で汚染を評価。川の汚染はウッタルプラデシュ州が最悪。川の清浄度の目立った増加はまだ確認されていない。デリーの三か所で調べたヤムナ川については水質に顕著な改善があり、ロックダウン前と比較すると、DO、BOD、CODに関して、ヤムナ川の水質にかなりの改善があった。

 人間が騒ぐ汚れの大きさも、きれいになる大きさも、小さく見えるガンガーの大きさ。

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