タージマハルの再開計画が新型コロナウイルスの感染が拡大する恐れがあるとして撤回

タージマハルの再開計画が新型コロナウイルスの感染が拡大する恐れがあるとして撤回になった。アグラ市域の観光名所についてロックダウンを延長する通知。「公益のため現時点でアグラの観光名所再開は推奨しがたい」。
 タージ・マハルはムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが、1631年に死去した愛妃ムムターズ・マハルのため建設した総大理石の墓廟。ムムターズ・マハルはペルシャ語で「宮殿の光」。ムムが落ちてタージ。白亜のインド・イスラーム文化の代表的建築。ムムターズ・マハルは遠征先で産褥病のため死亡。タージ・マハルは「王冠宮殿」。遺言で後世に残る墓。一回忌追悼式典で霊廟建設が開始。シャー・ジャハーンはヤムナー川を挟んだ対岸に黒大理石の自身の廟を作ろうとしたが実現しなかった。1983年にユネスコの世界遺産(文化遺産)に登録され、2007年に新・世界七不思議に選出された。

長方形構造で敷地内にモスクを持つ。墓廟が中心にない。墓廟の代わりに一辺23mの四角い白大理石づくりの基壇がある。霊廟の庭園は、イスラーム教徒にとって砂漠の中の楽園。バラ、チューリップ、ユリ、マリーゴールド、水仙、マンゴー、オレンジ、レモン、ザクロ、リンゴ、ブドウなど豊かな花々や果樹が植えられている。4つの尖塔は「皇妃に仕える4人の侍女」に喩えられる。墓廟は正方形の四隅が切られた変形八角形。タージ・マハル墓廟には地下室がある。庭側入り口の脇の狭い階段を下ると庭と同じ高さになる玄室がありムムターズ・マハル本来の墓石が安置されている。ホールの墓石は参拝用。
 建材はインド中から1,000頭以上もの象で運ばれてきたといわれる。大理石はラジャスタンのジャイプル産。赤砂石はファテープル・シークリーから運ばれた。翡翠や水晶は中国。トルコ石はチベット・。サファイアや瑠璃はスリランカ。カンラン石はエジプト。珊瑚や真珠貝はアラビア。ダイヤモンドはブンデルカンド。アメジストや瑪瑙はペルシャ。ラピスラズリはアフガニスタン。ただの王妃に対し壮大な墓廟が建設された例は無い。
 シャー・ジャハーンはヒンドゥー教を抑圧する令を発するなど、イスラーム教国家建設に取り掛かっていた。イスラーム社会が女性に夫への愛と子を生すことを求め、産褥による死は男性が聖戦で死す事と同義とみなす母性信仰があり、生涯で14人の子を産み36歳で死んだ彼女は殉教した聖者になるに充分だったという。
 ムガル王朝は「王冠か死棺か」。第三皇子シャー・ジャハーンも皇位継承権を持つ一族すべての男性を殺して帝位に就いた。シャー・ジャハーンは第一皇子に皇位を継がせようとしたが第三皇子のアウラングゼーブが挙兵し皇位に就き父をアーグラ城塞内に幽閉。タージ・マハルを見ながら死を待ったといわれる。アウラングゼーブも遠征先で妃を産褥で失い墓廟ビービー・カ・マクバラー廟を建設した。

 年間700万人の観光客が訪れてきた。再開はいつになるのか。

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