【スパイスのスパイス】3:レッドペッパー

ホームセンターで買って育てていたハバネロでやけどをしたこともある。粘膜を傷つけるため、適量を超えて過剰に摂取すれば胃腸等に問題を起こすこともある。唐辛子とは何か。ここがややこしいので整理したい。胡椒の回でみたようにペッパーの語源は長い胡椒。唐辛子とはまったく別のものなのだが、辛い、ホットという意味で重なったのか。実にいろんな〈レッドペッパー〉がある。辛くない唐辛子もあれば獅子唐やピーマンも分類学上は唐辛子の仲間。未成熟な状態で収穫するかどうかで別れる。緑色でもそれが完熟すると赤くなる。

#ナス科

一般的に唐辛子というのはナス科トウガラシ属の植物の果実。世界中に3,000品種以上存在する。それぞれが評価には「辛さ」や「色」を持つ。ASTAカラー値という単位の赤さの指標もある。辛さはスコヴィル値(SHU)単位で表される。唐辛子を辛さを感じなくなる濃度まで砂糖水で薄めたときの希釈倍率の数値。辛味がなければ0 SHU、青唐辛子”ハリミルチ”が4,000 SHU、鷹の爪は50,000 SHU。ハバネロは300,000 SHU。

唐辛子(とうがらし、唐芥子、蕃椒)は、中南米を原産とする、ナス科トウガラシ属 (Capsicum) の果実、香辛料。ピーマン、シシトウガラシ(シシトウ)、パプリカなど辛味がないかほとんどない甘味種(甘唐辛子・あまとうがらし)も含まれる。トウガラシ属は中南米が原産地でメキシコでの歴史は非常に古い。

#一味唐辛子

鷹の爪は日本産。50,000 SHU。日本ではこの鷹の爪というもともと品種の名前。粉末唐辛子をカイエンペッパーと呼ぶことがある。カイエンも品種の名前。九州の一部や長野県北部地域などでは唐辛子を「胡椒」と呼ぶことがある。柚子胡椒の「胡椒」はほんとう胡椒だと思っていたが唐辛子。南蛮胡椒、高麗胡椒とも呼ばれる。日本では「栃木三鷹(さんたか)」を生産する栃木県大田原市が有名。1542年にポルトガル人宣教師が豊後国の戦国大名大友宗麟に献上したともいわれる。

#コロンブス

英語ではカプシカム・ペッパー (Capsicum pepper)、レッド・ペッパー、チリ・ペッパー (chili pepper)」など。胡椒とは関係が無いにもかかわらず「ペッパー」と呼ばれているのは、コロンブスが唐辛子をインドで栽培されている胡椒の一種と見なしたからとされる。トウガラシ属の実は全て「ペッパー」とくくられるともいわれる。料理に辛みをつけ健胃薬、凍瘡・凍傷の治療、育毛の薬としても利用。鑑賞するためのトウガラシの品種もある。燻製もあり、醤油や酢、泡盛などに漬け込むと、独特な風味の調味料になる。

インドでは小さい子供の頃から徐々に辛い味に慣らし舌や胃腸を刺激に対して強くしている。唐辛子の辛味は口内の「痛覚」である。夏に暑い地域で食欲を増進し発汗を促し暑さ負けを防ぐ。ビタミンAとビタミンCが豊富で夏バテの防止に効果が高い。除虫の効果もある。食中毒を防ぐことはできない。「悪玉」コレステロールを低下させ、炎症を改善する可能性があるとの研究もある。唐辛子を多く摂る国は胃癌や食道癌の発癌率が高いといわれている。カプサイシン単体が発癌性をもつわけではない。

1542年、ドイツの植物学者レオンハルト・フックスの著書『時事起源誌』に「カリカット・コショウ」の名称で記載されているとのこと。16世紀にはインドにも伝来し、様々な料理に香辛料として用いられるようになった。ブータンの唐辛子は有名。主要な野菜と見做し、調理して食べる。世界最高の辛さを誇る料理。ギネスブックに世界一辛い唐辛子と認定されていた「ブート・ジョロキア」はアッサム地方原産。

#ソーラーパネル

唐辛子がソーラーパネルの性能を強化に用いられるというニュースもあった。ホットする。カプサイシンが、ソーラーパネルの性能を強化させるという論文を中国とスウェーデンの合同研究チームが発表した。研究で使用された「ペロブスカイト太陽電池」は、「桐蔭横浜大学」の日本人研究者らが発明したもの。ペロブスカイト構造の前駆体にカプサイシンを振りかけることにより、太陽光から電気への変換効率21.88%を記録とのこと。

「とうがらし」は中南米が原産の植物で唐から伝わった辛子と書くが中国から伝わったものではない。胡椒は蔓性の植物の果実。ブラックペッパー、ホワイトペッパー、ピンクペッパー、グリーンペッパーなどがあるが、レッドペッパーだけは胡椒ではない。しかしピンクペッパーをレッドペッパーの名前で売っていることがあるから注意。

チリペッパーは赤唐辛子を乾燥させてパウダー状に挽いたスパイス。パウダーといいながら粗挽き状のものも。レッドペッパーは焙煎した赤唐辛子を粗挽きしたスパイス。チリパウダーはチリペッパーをベースにして、パプリカ、オレガノ、クミン、デイル、ガーリック、オニオン、塩をブレンドしたもの。洋風七味唐辛子とも。

カイエンペッパーはチリペッパーと全く同じものともいわれるが、カイエン種という種類に限定することもある。ただし英語の「Cayenne pepper(カイエンペパー)」は、赤い唐辛子すべてを指しカイエンという種類ではない。「カイエン」の由来は南米ギアナのカイエンといういう町の名前。カイエンパウダーはチリパウダーのようにカイエンペッパーにほかの粉末スパイスを混ぜたミックススパイス。そうすると日本の一味唐辛子は赤唐辛子を乾燥させて粉末だからチリペッパーになる。粉末の粒はチリペッパーよりやや粗い。七味唐辛子はチリパウダーに相当する。

つまり、レッドペッパーは唐辛子の粉の総称。注意はチリパウダー。パウダーという言葉に混ぜ物をしているという緩さがある。チリペッパーという言葉もあるから混乱する。

チリペッパーは、タンドリーチキン、カレー、チリソース、テキサスチリ、タコス、キムチなどに使われる。

インド料理と唐辛子というのは切っても切れない関係。カレーを辛くしたい時には風味を壊さずに、辛みを調整できる。激辛カレーを注文すると赤い色になっていることもある。

#カシミリチリ

世界の唐辛子類生産量類(乾)生産国別比較統計 (2018)でインドは1,808,011 (t)と二位の中国321,290 (t)を大きく引き離している。3位エチオピア、4位タイと続く。圧倒的なケタ違いの乾燥唐辛子大国。

インド産のものとしてはカシミリチリがある。しわくちゃで大きい。辛くない唐辛子。カシミリチリは高価なので代用品になっているのがビャドギチリ。グンドゥチリはタミル州のラムナド地区で生産されている。辛くないチリ。パキスタンのゴルラルミルチもある。ヒンディー語でラルが赤、ミルチが唐辛子。
インドで安いのはPandi(パンディ)。Shonke Swari(ションケ・スワリ)は皺があり大きい。Bedki(ベドキ)。Kashmiri(カシュミリ)は一番大きく、皺も多い。高級唐辛子。

#ピンクペッパー

ピンクペッパー(フランス名:ポァブルローゼ)と呼ばれるスパイスは、ウルシ科のコショウボクという植物の果実を乾燥させたもの。しかしペッパーの熟果(赤色)を乾燥させたものや、バラ科の西洋ななかまどの実を乾燥させものを使用する場合がある。いずれも一味唐辛子ではない。ただしペッパーの熟果を乾燥させたものには辛みがある。

私はチリと呼んでいたが、名前を間違えるとやけどをすることになりかねない。