SAVE♡INDIA 変異株

ニューデリーを含め都市部のほとんどの病院で空き病床が無くなり、患者は自宅で療養せざるを得ない状況に陥った。医療用酸素のボンベや濃縮器などの医療器具は入手が困難となった。闇市場での価格も高騰した。医療用酸素の取扱店では酸素ボンベを見つけられず、闇市場で入手せざるを得なかった。通常なら6000ルピー(約8600円)で売られている酸素ボンベ1つに、5万ルピー(約7万2000円)を支払った例も報じられた。家庭での療養も難しくなった。
緊急使用の許可が出ている抗ウイルス薬レムデシビルと、通常は関節炎の治療に使われ、肺炎患者にも有効との研究結果が出ている薬トシリズマブも不足。闇市場で高値で取引されていると報じられた。

南部ハイデラバードの動物園では飼育しているライオン8頭の感染が確認された。5月4日。「動物からさらに人に感染する実証的な根拠はない」というものの動物園は閉鎖されてた。
世界バドミントン連盟は、ニューデリーで開催予定だったワールドツアーのインド・オープンの延期が決まったと発表した。インド・オープンは東京五輪の予選対象大会で、多くの日本選手が参加を予定していた。五輪予選を兼ねたカヌーのアジア選手権が7日までタイのパタヤで実施されたが、インドの代表は入国制限で出場できず、東京五輪出場が不可能となった。インドからの直行便も全てキャンセルになっていた。厳しい対立を続けてきた隣国のパキスタン政府は4月24日声明を発表し、インドの人たちとの連帯を示すため、人工呼吸器や医療用の防護具などをインド政府に提供する方針を明らかにした。

インドで二重変異株が初めて見つかったのは3月末。当時は、感染急増との因果関係はわかっていなかった。「問題のウイルス」は「B.1.617」と呼ばれた。分析してみると「G142D」「L452R」「E484Q」「D614G」「P681R」など多数の変異が観察された。このうち「E484Q」は抗体をかわしてワクチンの効果を低減させ「L452R」は日本人の6割が持つ白血球「HLA-A24」の攻撃を逃れる変異で感染力を高めると説明されているが、詳細は研究中だ。インドの保健・家族福祉省の3月24日の発表によると、マハラシュトラ州でこのウイルスが全体の15%から20%で検出されていた。
WHOが「懸念すべき変異株」に指定していたのは「イギリスで最初に見つかった変異ウイルス」と「南アフリカで見つかった変異ウイルス」「ブラジルで広がった変異ウイルス」の三つで、インドで報告されているのはこれらとは別の変異ウイルスだった。報告書は、この変異ウイルスには感染力を強めたりウイルスを攻撃する抗体の働きを低下させたりするおそれのある特徴的な遺伝子変異が3つあり、インドの感染状況の分析からも感染力が強まっている可能性が示唆されるとした。このインドで最初に確認された変異ウイルスはインドのほかイギリスやアメリカ、シンガポールなど世界の少なくとも17の国で報告されていた。
日本では4月26日の会見で加藤官房長官が5例含め、21例の確認を発表した。20例は空港検疫だが、1例は都内の80代女性でインド渡航歴がなかった。日本政府は4月28日、インドやペルーなど6カ国・地域を新型コロナウイルスの変異株流行国・地域に指定したと発表した。

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