ニュースメモ UP地方選挙

2022年3月10日に開票が行われた5州の議会選でインド人民党(BJP)が、北部ウッタルプラデシュ州、北部ウッタラカンド州、北東部マニプール州、南部ゴア州の4州で過半数以上の議席を得た。

インド北部のウッタルプラデーシュ州で行われた世界最大の地方選挙(400議席以上に1億5000万人の有権者)はカースト選挙の終焉とも指摘される。政治的に不安定な州での5年間の州首相の平均任期は2年19日。1947年以来現職の州首相が2期連続でUPの政治を担ったことがない。必ず政権交代する不満の民主主義。ところがモディUP州首相ヨギ・アディティアナスが歴史を変えた。この変化は質的な民主主義の変容を象徴するものだ。

ウッタルプラデーシュ州の一人当たりの名目GDPは1,000ドル未満。カーストが支配の原型を形作ってきた。2017年の前回の地方選挙では403議席のうち303議席を獲得した。世論調査では、インフレ、雇用の欠如、パンデミックへの対処が政府への逆風となっていた。選挙1か月前の1月には、UPのBJP議員の集団が、主要なライバルである地域政党のサマジワディ党に移った。州首相の独裁的な政治手法への不満もあった。

にも拘わらずモディ人気とカリスマ性に助けられ予測に反して与党の勝利。モディは州政府と国の政府が同じ政党によって統治されている「ダブルエンジン」政府の利点を強調した。

何百もの死体が川に浮かび川の土手に埋もれているのが発見された新型コロナウイルスの感染。投票者の5人に1人がイスラム教徒であるにも関わらず、2014年以降、どの選挙区でもイスラム教徒の候補者が1人もいない状態。イスラム教徒はサマジワディ党を支持したとみられるがそれでも及ばなかった。ヒンドゥー教徒の統合に成功したインド人民党の政党としての成長も指摘される。

BJPが存在するイスラム教徒の人口が多い州では双極性の政治が見られる。西ベンガル州ビハール州、UP州。広範囲にわたる包括的なヒンドゥー教のカースト連立の支持を定着させた。連立にはOBCが含まる。上位カーストと比較して不利な立場にある無数の中位カーストのグループだ。BBCによると、BJPは、州内の党組織のあらゆるレベルにこのグループに属するリーダーを配置した。特権的な上層カーストの主に都市の党としての評判を維持しならが、都市と村の両方の党としての地位を再構築した。新しいリーダーシップを生み出したともいわれる。福利厚生(住宅、トイレ、調理用ガス、パンデミック封鎖中の食料配給、銀行への直接送金による適度な現金配布)も、BJPが有権者との信頼関係を築くのに役立った。

ウッタルプラデーシュ州での地方選挙の結果はインドの政治に重大な影響を及ぼす。勝利はBJPの権力の掌握を強化し、分裂した反対派を弱体化させつ。BJPはヒンドゥーナショナリズムと戦略的福祉主義を組み合わせるということに成功した。貧しい人々に有利な左派ポピュリズムと右翼の文化的主要主義の混合。そしてヨギ氏はインドで最も政治的に重要な州の大衆指導者として確固たる地位を築いた。

2024年の総選挙に向けて大きな一歩であることは間違いない。ウクライナでの戦争が予算を圧迫する可能性もあるが、経済危機を国民統合に用いることに成功してきたインド人民党の動きが注目される。

https://www.bbc.com/news/world-asia-india-60688428

Yogi-Modi Triumph in Uttar Pradesh and Uttarakhand Signals the End of Caste in Indian Electoral Politics

後継者ヨギ、モディ3選、危機を前向き変える力、ヒンドゥーナショナリズム、人権抑圧批判、独立国家の意思、法治国家、マヤワティのBSPは18議席減らして1議席、うねりを上げて変化していくインドの民主主義。