なぜインドでは落雷で100人以上が死亡するのか?【帝釈天の日本は防災文化をシェアできるはず】
インド北部と東部の複数の地域で2020年6月25日落雷が発生し少なくとも107人が死亡した。死者は東部ビハール州で約83人、北部ウッタルプラデシュ州が24人。毎年6月から9月のモンスーンの季節に落雷が頻発する。
死者の半分以上はビハール州の洪水が発生しやすい北部と東部の地域で発生。ウッタルプラデシュ州では、死者のほとんどがネパールの国境近くのデオリア地区と聖地プラヤグラジで報告された。
モディ首相は犠牲者の家族に彼の哀悼の意を表して両州政府が緊急の救援活動を実施していると述べた。記録局によると2018年にインドで2,300人を超える人々が雷により死亡した。モンスーンは南アジアの水の補給に不可欠だが、毎年地域全体に広範囲にわたる死と破壊を引き起こす。
落雷は、帯電した積乱雲などと地上物の間に発生する放電。火災等の原因にもなる。落雷時の電圧は200万~10億ボルト、電流は1千~20万、時に50万アンペアに達する。ジュール熱が建物などに被害を発生させる。地球上では毎秒約100回、毎日約860万回もの落雷が起こっていると推定されている。わかっている範囲で、日本では年平均約20人、世界では約千人が落雷による直接被害に遭い、世界平均で被害者の約30%が死亡している。
雲の中の氷の粒が雲中の対流等により衝突、摩擦を生じ帯電、溜まった電荷が解消のため地上物等に対して電荷の放出を行う。「青天の霹靂」の霹靂とは落雷のこと。晴天でなければふつうは見た目で予見ができる。
水田に落雷すると収穫量が増えるので稲妻の語源になった。落雷による放電で窒素酸化物が生成され、亜硝酸塩へと変化して、イネの養分になる。落雷したほだ木できのこの収穫量が増えると古代ギリシア書物にも記述されている。木の窒素が雷の高電圧によって亜硝酸塩等の窒素化合物が生成されて菌糸の養分になる。
インドラは雷の神。神々の王・雷霆神・天候神・軍神・英雄神。デーヴァ神族に属する。ディヤウスとプリティヴィーの息子。 『リグ・ヴェーダ』の中心的な神。『ラーマーヤナ』では天空の神。仏教では帝釈天の名で知られる。
インドラ神のルーツは古く、インド=イラン共通時代までさかのぼる軍神。皮膚も髪も髭も茶褐色。 インドのゼウス。人々を苦しめる凶暴な蛇ヴリトラと戦う。ヴリトラとの戦いは、アーリヤ人と異民族の戦闘などの意味を持つ。冬の象徴であるヴリトラを打ち破ることで大地に水の恵みをもたらす。3つの頭を持つ怪物ヴィシュヴァルーパとも戦う。時代を経てデーヴァ(神々)の王とされ、イランのゾロアスター教ではダエーワ(悪魔)とされた。
仏教の守護神である天部の一尊である帝釈天となったインドラは梵天と並ぶ仏教の二大護法善神。 武器である金剛杵を手に持ち雷を操る。
インドには落雷による死亡者数は2017年に2885人、2018年に2357人が記録されている。日本の優れた避雷針、雷対策もシェアできるのはないだろうか。