ゼロという成長率も心配だが、もっと心配なことが多いインドのコロナ禍

国際通貨基金(IMF)は2020年4月14日に発表した「世界経済展望(WEO)」で、2020-21年度(20年4月~21年3月)のインドの実質国内総生産(GDP)成長率を前年比1.9%と予測した。新型コロナウイルス関連の内外の影響とロックダウンの直撃で、1月に予測した5.8%から大幅に下方修正した。

イギリス・ロンドンに本拠を置く国際金融グループのバークレイズの予想だと、インドの2020年のインドの成長はゼロとのこと。

 IMFは、2020年の世界経済の成長率(実質GDP伸び率)をマイナス3.0%としている。1月の見通しから6.3ポイントの大幅な下方修正。マイナス0.1%を記録したリーマンショックの際の2009年を大きく下回る「大恐慌以来の経済悪化」としている。インドはマイナスとはなっていないが、これからの不安要素は多い。

 その一つが政治の不安定化。イスラム教団体の大規模集会が感染症のクラスターになり、与党インド人民党の中には「コロナ・テロだ」という過激な発言も飛び出している。イスラム教団体タブリーグ・ジャマートがニューデリーで開いた大規模集会で感染がインド全域に広がったとされておりそれを材料にイスラム教徒攻撃をしている。2020年4月4日にはイスラム教徒の乳児が診療を拒否され死亡。ロックダウンや生活苦への不満の矛先が宗教対立になるとイスラム教徒側も黙っていない。
 ムンバイのスラム街のダラビ内では、感染爆発が懸念される。薬局以外の店舗をすべて閉鎖している。ロックダウンの延長が発表されると、職を失った出稼ぎ労働者が、ムンバイの駅に大勢押しよせ、治安当局と衝突した。歴史が動いている。

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