外出自粛ならYouTubeかFacebookしかない、インドのメディア革命を加速する新型コロナ

世界最速で伸びるのがインドYouTube市場。単位あたりの広告収入は日本に比べると小さいが視聴者の桁と伸び方が違う。もともとテレビの普及が遅れた国に、無料の動画や通話が急拡大しているメディア版の例外ペティ・クラークの法則。スマホも通信プランも格安のものが登場し所得を伸ばす中間層のメディアを席捲している。デジタルビデオ消費は現代のヒンドゥー速度で急速に進んでいる。
 インドYouTube市場は世界最速と言われるほどの成長スピードを実現。フォロワーが1,000万人を超えるYouTubeチャンネルが続々に生まれている。2019年3月までの累計再生回数は5,000億回以上になる。6年で33倍以上拡大した。アメリカの9000億には及ばないがイギリス、ブラジル、タイを上回り世界二位。日本は1600億で9位。人口が多いのだからそれもそのはず。YouTubeの世界の月間利用者数は20億人を超えたと言われるがインド人が全員見ればその半数以上になる規模だ。登録者もアメリカに次ぐ二位で10億人を超える。

 月間利用者数で23億とYouTubeを上回るFacebookもインドが注目だ。大手財閥のリライアンス・インダストリーズの傘下企業に57億ドル(約6100億円)を出資すると発表した。リライアンスは通信事業などで急成長した新興財閥。狙いは電子商取引(EC)。「インド中の人々が買い物をする機会を広げるための事業で協業する」。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が2020年4月21日に進出の狙いを説明した。共同事業で巨大市場の勢いを取り込む。2014年に運営会社を218億ドルで買収した対話アプリ「ワッツアップ」の利用者は4億人。フェイスブックの3億人と重ねるとインドのネット市場を席捲できる。インドのEC市場では、米ウォルマート傘下のフリップカートと、米アマゾン・ドット・コムが市場を拡大。フェイスブックと組む通信事業のジオがその後を追う。
 こうしたアメリカ企業の攻勢に対し、キラナと呼ばれる地元の中小小売店が存続の危機を訴えて反発している。インド政府は2019年2月、外資企業のネット通販に対する規制を強化し、商品の仕入れ先と独占契約を結ぶのを禁止した。大幅な貿易赤字を背景にトランプ大統領が19年6月に新興国向けの関税を優遇する制度からインドを除外。米印の貿易対立に発展した。インドは米国産品28品目の関税を引きあげていたが、ジェフ・ベゾスの訪問に続く、トランプ氏のインド訪問でインド政府は小売業の外資規制を緩和。米アップルはインドに直営店を開くと表明した。

 ディズニーも13億人のインド市場狙っている。動画ストリーミングサービスDisney+が、4月3日からインドで利用可能になった。Star India傘下のストリーミングプラットフォーム「ホットスター(Hotstar)」の月間利用者数は3億人。Star Indiaはディズニーが21世紀フォックスごと買い取った。ネットフリックスやアマゾンプライムに水をあけ、ホットスターは月額40セントの広告付き低価格戦略で29%のシェア首位を維持しているが、中国の動画ストリーミングのiQiyiやWeTVは広告つきの無料プランも用意している。

 テレビはというと、出荷台数が2019年に前年比15%増加し、過去最高となる1,500万台を記録した。150米ドルを切る格安32インチスマートテレビが普及した。スマホの続きをXiaomiやTCLのような新興ブランドの大きな画面で視聴する。通常のテレビはSamsung、LG、Sony、BPL、Sansuiなどが農村部での需要の掘り起こしに務めている。

 EC市場の変革は新型コロナで加速している。都市封鎖の中でデリバリーサービスの需要が拡大しているのだ。生活必需品の配送サービスならば許されている。Bigbasket(ビッグバスケット)やGrofers(グローファーズ)はオンライン販売大手。Dunzo(ドゥンゾー)は注文した商品を自分の代わりに購入して自宅まで運んでくれる。レストランの食事を配達していたZomato(ゾマト)やSwiggy(スウィギー)はキラナの生活必需品を自宅まで届けるサービスを開始。農家から買い上げた野菜をレストランなどに卸していたNinjacart(ニンジャカート)はボランティアのNinjaが消費者に直接、野菜を提供している。

 通信大国のモディ首相は、ホワイトハウスがツイッターをフォローする唯一の外国の指導者になっているとのこと。新型コロナ対策の薬をめぐって両国首脳がやり取りを繰り返した。

 ネットのプラットフォームが拡大すればその累乗で加速するのがコンテンツの量と品質保持のコストになる。全土封鎖のインドではフェイクニュース対策に揺れている。15匹のサルが死亡した原因が新型コロナとの噂が広がり混乱を生み出した。実際には、サルの解剖を実施しているインド獣医研究所によると、殺虫剤で汚染された飲料水で肝臓と腎臓に不調が生じた可能性が高いと報告しているとのこと。

 新型コロナウイルスに関する偽情報増加に対応するため2020 年4月7日、フェイスブックはメッセージアプリ「ワッツアップ」のコンテンツ転送機能を制限する方針を明らかにした。

 ファクトチェックを行うインディア・トゥデイ紙の専門機関はロックダウン命令に従わない宗教指導者のビデオがインドではなくパキスタンからのものだったと伝えている。Facebookページの「All India News」でも、1分35秒の動画が共有されていた。ただしそもそもインドでの出来事だという記述は見つからない。

外出自粛ならYouTubeかFacebookしかない、インドのメディア革命を新型コロナが加速している。課題も置き去りにするスピードだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください