全土封鎖開始から50日、世界最長のロックダウン国インドは、28兆円規模の経済対策で難局を乗り切れるのか

モディ首相は2020年5月12日、テレビ演説し、新しい経済対策を打ちだすと表明。都市封鎖で低迷する製造業、農業、雇用への対策。経済対策の規模は20兆ルピー(約28兆円)程度でインドの名目国内総生産(GDP)の10%に相当する。3月末に貧困層対策の1兆7千億ルピー(約2兆5千億円)の景気対策を発表したものに続く第二弾。モディ首相は「コロナの危機はインドに商機をもたらす」。国内で大量のマスク生産を始めたことを紹介した。危機の中でもメイクインインディアを忘れない。外出制限の緩和の進め方や経済対策の具体的な中身は、近く政府が発表する。封鎖措置開始から50日。鉄道網の一部が運行を再開した。最初の列車30本、5万4000席以上の切符が3時間以内に完売した。

 インドは全世界からの入国ビザの無効化や国鉄・メトロ(地下鉄)、航空便の運行停止など徹底した措置とった。3月22日には一日限りの「ジャナタ・カーフュー(国民戒厳令)」が時間限定の措置が取られた。3月25日から21日間のロックダウンでは、警察や消防、食料品店や薬局などを除くほとんどの官公庁や企業・商店の業務が止まり、公共交通機関はもちろん、道路の通行も食料品輸送などに限って許可された。三週間後にロックダウンは延長された。流言飛語やフェイクニュースを流した者に対しては禁固1~2年という罰則も導入。感染は拡大しており、こうした厳しい措置がなければもっと大変なことになっていただろう。
 ロックダウンによる経済への打撃は大きい。インドは2019年10-12月期に4.7%という低成長を記録。追い打ちとなった新型コロナで工業生産、輸出、設備投資や個人消費も落ち込む。日雇い労働者など貧困層、零細商工業者は職を失った。国際労働機関(ILO)は、インドの労働者のうち約4億人が貧困状態に陥ると予測した。インド経済は30年ぶりの低成長に落ち込む危険がある。
 シタラマン財務相は2020年3月23日、個人所得税の免税枠引き上げや各種利払いの猶予などを発表、CSR活動の資金をコロナウイルス対策に使用してもよいとした。26日には、総額1兆7000億ルピー(約2兆5000億円)に達する景気刺激策で約8億人を対象としたコメ・小麦などの無償配布や女性への給付金支給などを決めた。27日には、インド中銀(RBI)が0.75%の緊急利下げを決定した。

 フェイスブックがインドで巨額投資に踏み切るなど、弱ったインドに対する投資攻勢とこれから守ろうとする攻防戦は、米中印の貿易戦の様相も見せている。

 ロックダウンに入る前の3月24日夜の演説でモディ首相は、インドの古典叙事詩「ラーマーヤナ」を引用しコロナウイルスを魔王にたとえた。わかりやすい、メディア政治家らしい説明だった。主人公ラーマの弟ラクシュマンは魔王からシータ姫を守るためにバリアを張る。魔王ラーヴァンの言葉巧みな誘いでバリアを出たシータはランカー島に連れ去られる。誘惑に負けて自宅から出るとひどい目にあうと強調した。

 我慢の出口となるべき21日間という日数はすでに過ぎ、感染者数は7万人にのぼっている。

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