ステイホームで注目される仮設の映画館でタゴール・ソングスを見る
ドキュメンタリー映画「タゴール・ソングス」。アジアで初めてノーベル文学賞を受賞した詩人ラビンドラナート・タゴールの生み出したタゴール・ソングスと呼ばれる歌をベンガルの市井の人々が歌い続ける。歌う時に首を振りながら一様に微笑むのが印象的。監督は佐々木美佳さん。タゴールはインドの国歌の作詞作曲、バングラデシュ国歌の作詞も行っている。新型コロナウイルスで映画館が開けないのでインターネットの「仮設の映画館」で「先行上映」となった。まどみちお、尾崎豊、野口雨情。わかりやすい語彙なのに深い。自由度が大きいので読み手の中で深まっていく。心の聲。「ひとりで進め、心からの言葉をひとり語れ」。いまの危機にふさわしい。
ラビンドラナート・タゴールはインドの思想家、作曲家。詩聖。1913年には『ギタンジャリ』でノーベル文学賞を受賞した。自訳した英語の詩集。1861年5月7日、ベンガル州カルカッタの名門タゴール家に七人兄弟の末っ子として生まれた。1878年、17歳でイギリスのユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)に留学後帰国。ベンガル地方の芸能・修行者集団バウルの歌の影響を受ける。タゴールは2600曲あまりの歌を残した。バングラディシュ国歌の「我が黄金のベンガルよ」はバウルの旋律。
カルカッタの北西にあたるシャンティニケータンに1901年に野外学校を設立、現在のヴィシュヴァ・バーラティ国立大学となった。1902年にはインドを訪れた岡倉天心と親交を結んだ。1916年に来日し日本の国家主義を批判した。岡倉天心の墓を訪れ六角堂で詩を読んだ。ガンディーにマハトマ=偉大なる魂の尊称を贈り、ロマン・ロランやアインシュタインとの親交。ハイゼンベルクには、東洋哲学を教えた。ベンガル出身の巨匠である映画監督のサタジット・レイは、1961年にタゴールの生涯をつづったドキュメンタリー「詩聖タゴール」を制作している。
タゴールの平和は戦争がないことではなく心の平安だといわれる。道を譲る日本人を称賛した。
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