インドではロックダウンの緩和が始まったが実際のところ経済はどうなのか

内務省が発表した6月30日までのロックダウン延長はロックダウン第五期になる。5月17日の発表はロックダウンの5月31日までの延長でこれは3度目の延長で第4期だった(第3期は5月4~17日)。この時のガイドラインによると、旅客機、メトロ、ホテルや教育機関、映画館、ショッピングモール、ジムなどの全土禁止。州を越える乗用車やバスの移動は許可。6月8日からは、全土での緩和措置。

(生産活動)
日本企業も多いベンガルールのあるカルナタカ州の例をJETROのまとめを例にみる。第5期ロックダウンでの緩和措置についての州基準を発表。第1段階で、6月8日以降、宗教施設や、ホテル、レストラン、ショッピングモールなどの商業施設を再開する。第2段階では、学校、大学や教育機関を再開を検討。第3段階で、国際線旅客機の運航、メトロ、映画館、ジム、娯楽施設、バー、講堂、集会所、大規模な集会の再開を検討。オフィスは出勤できる職員数に制限が課され従業員総数の3分の1が上限人数とされている。外出許可時間帯は午前5時~午後9時に緩和された。日本は県境を越える制限がまだ残っているが、州間の人の移動の自由は認められる。登録は必要。隣接するマハラシュトラ州からカルナタカ州にには特に入念な警戒措置が取られている。

(販売活動)
販売活動についてはインド最大の商業都市のマハラシュトラ州の例を見る。ムンバイではスラムの過密状態も問題となっている。インド全体の感染者数のうち約35%を占め、最も感染が拡大している。政府の通達は封じ込めゾーン以外でのショッピングモールの営業を段階的に認めたがマハラシュトラ州では6月30日までは一切認められなかった。ムンバイやプネの都市部では、6月3日からは個人の屋外活動が許可。5日からは大型モール以外の店舗の営業再開が全般的に認められた。事業所への出社も出勤人数は10%の上限。電車やバスなどの運行は原則禁止。従業員の出勤が困難な状態。出稼ぎ労働者の帰省で労働力の確保が難しくなる。外国人駐在員の多くは一時帰国。ムンバイ便の全日空の直行は運休。

(物流)
全国ソフトウエア・サービス企業協会(NASSCOM)が物流やモビリティをテーマにオンライン会議を実施する。投資についての経済産業省のレポートでは有力スタートアップへの大型投資は米国系ファンドを中心。最近は中国系企業による投資。日系の参画は限定的との見方がある。

(雇用)
ジェトロが4月24~28日に実施した勤務環境についてのアンケート。回答者の68.5%が「工場までの交通手段の確保ができない」。53.0%が「ワーカーの住まいがホットスポットなどに指定されており、出勤ができない」。22.7%が、ソーシャルディスタンスの確保やシフトの変更などができていない。

(投資)
外国からの投資は一気に落ち込んだ。ほぼすべての日系企業の活動に影響。半分以上の企業が駐在員の一部または全員が日本に帰国。全員帰国済みも多い一方、全員残留も多い。売り上げは落ち込む。サプライチェーンへの支障。インド政府のガイドラインに従うコスト、労働者の移動手段確保。物流の停滞。

(利益)
 2020年3月の売り上げは8割の企業が昨年同月比減。3割は前年同月比51%以上減少見込。二割は売り上げの見通しが立たない企業。

(株主還元等)
 以前にも書いたが、『インドでは株式が急落。代表的な株価指数のSENSEX指数は、2020年3月はじめの38,000ポイント台から18日に29,000ポイントを割り込む。下落率は20%以上。ルピーも2020年3月20日に1ドル=75ルピーと史上最安値を更新した。
 リーマンの際にはどうだったのか。インド経済は、景気の過熱や原油価格上昇に伴うインフレで2008年半ばから金融引締めを強化していた。そこに世界的な金融危機の影響が襲った。ただし国内金融機関がアメリカの証券化商品等の資産を保有していなかった。成長率は他の新興国に比べて影響は少なかった。まだグローバル経済にどっぷりとは浸かっていなかったが、今回はどうだろうか。孤立を目指すわけではないと財務相。』

 感染拡大の中、いままでにないことが起きている。

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