モーリシャス沖合貨物船座礁燃料用重油大量流出で逮捕されたインド人船長は何を問われるのか?【自然環境を破壊した容疑は船長一人にはない】

インド洋のモーリシャスの沖合で日本企業の大型貨物船が座礁し燃料用重油が大量流出した事件で地元警察が2020年8月18日、インド人の船長ら2人を航海の安全を脅かした容疑などで逮捕した。地元紙レクスプレスなどによると船長らはポートルイスにある裁判所に出廷し、次の裁判日程がある25日まで警察の留置施設に収容される。船はモーリシャス南東部の沖合約1・5キロの地点で座礁した。貨物船の20人の乗組員は、3人のインド人、16人のフィリピン人、1人のスリランカ人で構成。キャプテンはインド人のスニル・クマール・ナンデシュワール(58歳)。貨物船は8月6日、破損したタンクから燃料油約千トンが流出し海岸まで油が漂着し油は一帯のマングローブ林を汚染し小魚、カニ、野鳥などの生態系に被害を与えていた。
 座礁後に二つに割れた貨物船のうち船首の大きい部分を海底に沈めるための曳航が始まった船首は、サンゴ礁から14.8 km沖合に運ばれ約2000メートルの深さに沈められる。
 以下、フォーブスから気になったところを引用。モーリシャスの海は豊かで希少な固有種。人為的な干渉から離れたサンゴ環礁。湿地のための国際的な保護区に近接。衛星分析会社であるWindward。データ分析プラットフォームを使用して、影響が出る前の重要な最後の2日間を含む、過去1週間の動きを追跡。7月23日にモーリシャスの国営水域(排他的経済水域)に入る。サンゴ礁にぶつかるまで2日間速度または進路を変更していない。船は海上でのばら積み貨物船の標準である11ノットで航行、衝突前に減速が見られない。気象条件による航路への影響はみられない。
 海域は過去20年間で船舶の輸送量が4倍に増加。7月には、2000隻を超える船舶が、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、ラテンアメリカを結ぶ世界で最も集中した航路のモーリシャス海岸を通過した。船はこの航路を使用する他の船舶よりもはるかに北にあった。AIS(衝突回避用)トランスポンダからのデータは、2020年7月26日にUAEを出航する2番目の救助船「Boka Expedition」の出航も示している。
 モーリシャスの災害は、次のことが必要であることを示している。海上で危険な事業者を特定、海運業界の公正で透明な説明責任を確保するための船舶登録の改革。衛星や機械学習などの新しいテクノロジーを取り入れて海洋領域と自然生態系をより効果的に保護する必要。世界中の地方自治体をサポートするためのグローバルな「オーシャンミッションコントロール」の作成とリソースにアクセスするための貧しい国々向けの対策。たとえ船が座礁したとしても重油燃料を汚染しない方策。これらの改革は何年にもわたって続けられてきたが、海事災害と汚染は毎週発生し続けている。

 モーリシャスは、ノーベル文学賞作家のル・クレジオ氏が国籍を有する国。 2006年に来日。文化人類学者である今福龍太の案内で奄美群島、津島佑子の案内で北海道を訪れた。奄美群島への旅行では、特にガジュマルの樹を目にした時に、インド洋、モーリシャスとの繋がりを感じたという
 今福教授によると「奄美で自然の石や木はどういう音を立て、島の人はそれを何と言うかなどとしきりに聞いた。島の人が使う言葉や自然の音に彼ほど繊細な感性を持って入った人はいない。意味を形成する以前の音に敏感に反応する=耳の人=だった」とのこと。
 船長は航海の安全を脅かした容疑のようだが、過密路線に十分で可能な安全策を取らず自然環境と地元経済破壊した容疑は船長一人にはないのだろう。

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