日本の貨物船の重油流出があったモーリシャスではイルカが死亡し首都で大規模デモ【環境への影響は映像では表現しきれない】

イソップ童話の『ライオンとイルカ』で海の動物の王さまのイルカは陸の動物の王さまのライオンと同盟を結ぶが肝心の時に陸に上がれずライオンを助けることができない。人間と自然はもとから住んでいる世界が違うのだから勝手に相手の世界を壊してもいけないし、勝手な解釈で被害者にしたりすることもできない。ジャック・マイヨールは『イルカと海へ還る日/HOMO DELPHINUS]』でイルカとだけ心を通わせた。イルカは高い周波数をもったパルス音を発し反射音をとらえる。コミュニケーション能力は高くいじめも行う。逆に追い込み漁ではパニックに陥る。分類学上は「イルカ」に相当する系統群は存在せず、ハクジラ亜目のうち比較的小型の種を総称して「イルカ」と呼ぶことが多い。
 『イルカの島』 アーサー・C・クラーク、『海のトリトン』 手塚治虫、『イルカにのった少年』(歌:城みちる 1974年)、TVドラマ『わんぱくフリッパー』。イルカは感情移入をしやすくキャラ立ちもする。
アメリカ合衆国海軍や海上自衛隊の潜水艦徽章は二匹のシャチをあしらったデザインでドルフィンマークといわれる。

 モーリシャスでは重油流出をめぐり首都ポートルイスで大規模デモがあり政府の対応に抗議があがった。モーリシャスでは新型コロナウイルスの感染対策として外国人の入国が制限され観光業が打撃を受けている。経済の先行きなどへの不安が高まっている。
 モーリシャスの南東部の海岸にイルカ18頭(以上)が打ち上げられその後死亡した。事故から一か月の2020年8月26日から続々とイルカが岸に打ち上げられその後全頭が死んだ。イルカの皮膚や口腔内などから燃料は検出されていないとして座礁事故との関連性はないとの見解が示されている。
 イルカはグランサーブル、プチサーブル、ポワントフィーユのビーチ沿いで発見された。南東部はばら積み貨物船わかしおの沈没に関連する油流出の影響を受けた。
 2020年8月26日記者会見したモドゥー漁業担当相は「初期的な情報に基づけば、貨物船の事故とは関係がない」という見方を示した。当局はイルカの死亡原因について引き続き慎重に調べるという。
 自然界はつながっているから死因を特定するのは難しい。何かが原因で弱っていたのかもしれないし、何かが原因で普段にない行動をとったのかもしれない。以下、抜粋引用
 油流出は沿岸の人間活動や海洋資源利用者に深刻な経済的影響をもたらす.海洋生物への影響は、油の化学的組成に由来する 有毒性と汚染性、生物系の多様性と変動性、油汚染への感受性によって複合的なものになる。
 人々は不安を感じ、 水浴、船乗、釣り、潜水などの活動に支障が生じる。
 海洋生物への油の影響は汚染や窒息作用、 有毒性と汚染物の累積などがある。清掃中に二次関節汚染も生じる。ムースの脅威は窒息作用。海洋哺乳類、爬虫類、潜水して餌を得るもの鳥類、波打ち際の海洋生物など。
 カキ、イガイ、ハマグリなどの浅海定住動物は食餌のために大量の海水を吸い込むため油成分を蓄積する可能性がある。人は食べられなくなるが回収すれば清浄化はされる。海洋哺乳類と、ウミガメなどの爬虫類は呼吸のために浮上する必要や産卵のために上陸する必要から油汚染に特に弱い。干潮の際に岩、砂が広範囲に現れる海岸線への影響は特に大きい。
 マングローブは酸素の少ない泥の表面上に複雑な 呼吸根を有している。油はその呼吸根の口をふさぎ落葉と枯死をもたらすことがある。沼沢地やマングローブ林から油を物理的に除去することはきわめて 困難。生存サンゴが死滅すると、 サンゴ礁自体、波によって浸食される恐れがある。大部分のサンゴ礁上では水深が浅く、水が渦巻き、薦められるクリーンアップ技術はほとんどない。
 水鳥の羽毛は、海に潜っても羽毛が水を含まないように、親油性・疎水性の物質でコーティングされているが流出油に触れると溶け出す。羽毛の間に空気を蓄えられず海面上での浮力を失う。体温の低下によって凍死することもある。水鳥類や海獣類は石油で汚れた羽や体毛を口で整えようとするため石油を摂取し体内に取り込んでしまう場合がある。石油成分は中枢神経系にも作用して行動傷害や知覚麻痺を引き起こす。動きが鈍くなり餌が獲れなくなったり外敵から身を守れなくなったりして死んでしまうことも多いよう。
 石油に含まれる成分のうち揮発性の高い低分子成分の中に毒性の強いものが多い。単環芳香族のベンゼン、トルエン、キシレンといったBTX化合物は特に強い毒性を持つ。ナホトカ号事故。手袋、ゴーグル、マスクなど防具の着用、健康管理に十分注意が必要。
 石油の風化は(1)拡散・漂流、(2)蒸発 、(3)溶解、(4)分散、(5)エマルジョン化、(6)光酸化、(7)沈降、(8)微生物分解、などが起こる。(5)エマルジョン化 (ムース化)では海水が流出油中に微細な水滴となって分散し流出油は非常に粘度の高いムース状を呈するようになる。粘度が高く体積も膨張し扱いが非常にやっかいになる。元の黒褐色から茶褐色~オレンジへと変化し『チョコレートムース』とも称される。一旦、安定な油中水型エマルジョンが形成されると、再び水と油に解離することは難しくなり、蒸発・溶解・微生物分解などのその他の風化作用も受けにくくなる。
 油に懸濁物が付着すると海水の比重を超えオイルボール(廃油ボール)を形成して海底へと沈降する。海岸に打ち上げられた後も漂着油の風化は進行し軽質な成分が蒸発し残された重質な成分は砂や粘土と混じり合いアスファルト状のタールマットを形成する。海底に沈降した油やタールマットは、それ以上の風化作用を受けにくくなり、微生物分解もされにくい。

 専門家まかせにするのではなくどんな影響があるのか知っておきたいと思う。

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