なぜハーレーダビッドソンはインドから撤退するのか?【トランプ大統領が文句した高関税よりビジネスモデルに限界】

アメリカの二輪車大手ハーレーダビッドソンが2020年9月24日、インド市場から撤退、現地生産も終了すると発表。インドは世界最大の二輪車市場。日本メーカーに敗退、現地のバイクも成長している。ハーレーは輸入車への高関税を避けるために11年ごろから部品を輸出してインドで組み立てるノックダウン生産を始めた。現地メーカーへの生産委託も条件が合う提携先が見つからなかった。ヨッヘン・ツァイツ最高経営責任者(CEO)のもとで採算が見込めない海外市場から撤退し販売地域を減らしている。
 バワル(ハリヤナ州)の製造施設を閉鎖する。
 プレミアムバイクの販売を開始してから10年。インドでのビジネスモデルの明暗が可視化されている。
 ハーレーダビッドソン1903年にウィスコンシン州ミルウォーキーで設立されインディアンとともに世界恐慌を生き残ったアメリカの2大オートバイメーカーの1つ。チョッパースタイルオートバイへのカスタム化のモデルとなった。重量級で空冷の700cc以上のエンジンを搭載したクルーザー型オートバイを生産。
 80年代前半に日本メーカーがオートバイをアメリカに対して大規模に輸出することは、アメリカ国内メーカーを脅かすと主張。国際貿易委員会による調査の後、レーガン大統領は1983年に700cc以上のエンジンを搭載する輸入オートバイに対して45%の関税を課した。 経営不振から回復するため「レトロ」な味わいを利用し、初期のモデルや当時のオーナー達が行ったカスタマイズの風合いを採用したモデルを生産。ブレーキやフォーク、ショックアブソーバー、キャブレター、電装系及びホイールなど多くのコンポーネントが外国企業に外注され、品質は向上、売上は次第に回復していった。
 1998年、アメリカ国外初の工場がブラジルのマナウスにオープン。2009年8月にハーレーダビッドソンはインド市場への参入計画を発表し、2010年からオートバイの販売を始めた。2011年にデリー近郊のグルガオンに子会社(ハーレーダビッドソン・インディア)を設立した。
 Harley-Davidsonは、インドでは6つのプラットフォーム(Sportster、Dyna、Softail、V-Rod、Touring、Street)の11種類のモデルを提供。ニューデリー、グルガオン、コインバトール、チャンディーガル、ムンバイ、ハイデラバード、バンガロール、チェンナイ、コーチ、コルカタ、アーメダバード、インドール、プネ、ゴア、グワーハーティー、ジャイプールなどで展開。2010年5月6日、在インド大使ティモシーJ.レーマーは、HDインドのグルガオン本部の開会式に出席した。
 インド市場への参入計画は、高関税と排出規制が課題だった。
 2007年には、米国通商代表 スーザン・シュワブとインドの商工大臣、カマル・ナスがハーレーダビッドソンのオートバイとインドのマンゴーの輸出と引き換えにインド市場へのアクセスを許可することで合意し「マンゴー外交」と呼ばれた。しかしインドは500 ccを超える排気量のオートバイの排出基準を指定しておらず輸入を事実上禁止。バイクの調達は2010年6月から始まりノックダウンのための組立施設を開始。
 2017年以降、国内の販売不振とアメリカのTPP交渉からの離脱。カンザスシティーの閉鎖を計画。2018年、トランプは「貿易赤字」を理由に、世界からアメリカ合衆国に流入する工業製品等に、新たな関税を科すことを表明。EUなどがアメリカ製オートバイやバーボンなど、ハーレーやトランプ支持者が多い地域を狙い撃ちする報復関税を示唆。ハーレーは2018年6月25日に、カンザス工場の閉鎖と海外移転を発表。トランプ大統領は翌26日、「ハーレーダビッドソンが報復関税の圧力に負けて海外へ生産拠点を移そうとしている」として非難。国外へ移転するのであれば、ハーレーは降伏して終わりを迎えるとTwitterで警告し不買運動を支持した。
 日本では陸軍がサイドカーを中心として軍用車両として用いた。「陸王」の名でライセンス生産・販売。東日本大震災による津波で、宮城県山元町から6,500キロメートル離れたカナダのグレアム島まで流されたコンテナの中から、ハーレーダビッドソンが発見された。ハーレーダビッドソン社は無償で修理し、所有者へ送ることを発表したが、持ち主の意向により、現状のまま博物館での展示が決定した。

 ハーレーダビッドソン ジャパンは、ハーレーダビッドソン初の電動スポーツバイク「LiveWire (ライブワイヤー)」を日本市場へ導入することを発表している。
 トランプ大統領はインドの高関税を批判していた。デザインは真似されやすく、ブランドはいらないという国もある。現地生産なら低価格の電動モデルという事業展開でなければ厳しかったのかもしれない。

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