イスラエルとスーダンの国交正常化の意味【テロ指定解除と石油資源が中印のアフリカ関与に影響を及ぼす】

2020年10月23日、イスラエルとの国交正常化合意を前にポンペオ米国務長官と会談したスーダンのブルハン統治評議会議長は首都ハルツームで合意を課葱した。トランプ大統領は23日、アメリカの仲介でイスラエルとスーダンが国交正常化に合意したと発表。1948年のイスラエル建国以来、対立してきたアラブ諸国でイスラエルとの国交正常化に踏み切るのはこれで5カ国目だ。79年にエジプト、94年にヨルダンが国交を正常化、今年8月以降にアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンに続く5カ国目。トランプ氏は、スーダンのテロ支援国家指定を解除する意向を議会に通告した。11月3日の米大統領選を前に云々ということだが、スーダンの経緯と位置づけをもっと考えなければならない。UAEやバーレーンは湾岸の国でイスラエルと戦争をしたことはない。スーダンは第1次中東戦争(48~49年)でエジプト軍に加わって参戦。第3次中東戦争(67年)後、ハルツームで開かれたアラブ連盟首脳会議では、イスラエルとは「和平せず、交渉せず、承認せず」とする「三つのノー」を決議に盛り込んだ。
 アメリカは、国際テロ組織アルカイダを支援したなどとして、93年にスーダンをテロ支援国家に指定した。スーダンを支配したバシル前大統領が2019年に失脚後、スーダンはテロ指定の解除を求めてきた。暫定政府はアルカイダによる98年のケニアやタンザニアの米大使館爆破テロの被害者や遺族に3億3500万ドルを支払うことで合意。これを受け、イスラエルのネタニヤフ首相、スーダンを共同統治する文民のハムドク首相と軍部のブルハン統治評議会議長が電話協議で合意。両国は農業技術協力などから関係を深めスーダン議会の承認を得た上で正式な国交樹立となる。

 スーダンはアフリカ北東部に位置する国。北東は紅海に臨む。ナイル川上流のブルーナイル川,ホワイトナイル川の流域を占めアフリカらしく高原上に位置する。黒人のクシュ王国が栄えたがアラブ人が流入しイスラム化が進行した。内戦終結後、南部で油田の開発が進んだ。内戦が1980年代半ばに再燃し、干魃などによる飢饉。南部の北部不信が強い。2011年7月9日,南部は南スーダンとして独立を宣言した。

 インドはアフリカ諸国の経済関係を深めている。重要性が高いのはエネルギー資源外交だ。中国や韓国と激しく競合する。2国間関係が重要になる。インドのアフリカでの最大の拠点は地域大国であ る南アフリカ。インド人コミュニティの存在もあるがBRICSでもある。アフリカでは、エジプト、 リビア、スーダン、ナイジェリアの4力国で天然ガスの探鉱や開発を行っている。
 2004年7月国連安保理事会は スーダン政府にダノレフール情勢の解決を求め停戦、アラブ系民兵の武装解除、人道支援 を要求する決議を採択。中国とパキスタンは いずれも棄権。中国は石油開発に関係し石油輸入の約1割をスーダンから輸入。2006年11月に国連人権委員会は、ダルフールにおける暴力を終結させる責任をスーダン政府に負わせる修正決議を行った。インド はこれに反対した。二国間関係を重視するのは中国と同じ。インドも相手国の民主主義的価値観に必ずしも縛られてはいない。ダルフール問題に関連したスーダンへの進出という中国の進出姿勢は国際的に大きく非難を浴びたが、アフリカ現地では中国に対する印象が好転している。インドは中国の後塵を拝している。

 テロ指定解除と石油資源でインドがアフリカでの中国の存在を変えるのか。

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