【読書案内】『インドの数学 ゼロの発明』林隆夫著
『インドの数学 ゼロの発明』林隆夫著。インドの数学史を多角的に解説している。中公新書の『インドの数学』も持っていたのだが、時間に追われて読めずにいた。コロナの影響で読む時間が生まれゆったりとひもとくと、最高に高度な内容のはずなのだが、すんなりと、なるほどと頷きながら読むことができた。資料の紹介のあとにまとめと評価があるからだろう。「ある数をゼロで割ったあとゼロを掛けると元に戻る?」「祭壇の作図法」「ガンガー河の砂はいくつあるか」「指算」「弓型の面積」「占星術」「チェス」「和算」など多彩で刺激的だ。アルゴリズムと代数が現在のIT大国インドを作ったとも想像でき、いくつもの間違いと四苦八苦を繰り返してきたことも面白い。数学の入試問題を作る材料もたくさんある。今は文系、理系とステレオタイプにわけて効率化してしまっているが、それで新しい知は生まれるのか今日的問いかけを思った。ゼロには数字のゼロと位取り記号のゼロがあると学んだ30年前の学生時代の授業の断片が蘇った。
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