特定技能受け入れの日印協力をインド政府が承認【コロナ後の訪日を目指すインド人に道開く】

インド人がやってくる。そんな状態への準備が進んでいる。インド政府は特定の熟練労働者のパートナーシップに関する日印間の協力覚書の署名を承認した。必要な技能と日本語テストの資格を有する熟練したインド人労働者を日本の特定の14部門で派遣および受け入れる。「特定の熟練労働者」つまり「特定技能」の新しい在留資格が与えられる。MOCの実施をフォローアップするために合同作業部会が設立される。

協力覚書承認
熟練したインド人労働者を受け入れる14のセクターは、介護; 建物の清掃; 材料加工産業; 産業機械製造業; 電気および電子情報関連産業; 建設; 造船および船舶関連産業; 自動車のメンテナンス; 航空; 宿泊; 農業; 漁業; 食品・飲料製造業と外食産業。「熟練」という言葉の意味も、3Kから高度サービスへと変わっていくのだろう。

#労働力不足644万人
世界経済フォーラム(WEF)による2019年の投稿によると、日本の人口の27%以上が65歳以上であり、2017年の出生率は1.43。2030年までに644万人の労働力不足に直面すると言われている。東京だけでも133万人の労働者不足。熟練労働者の法的な動きはインドの送金経済を後押しするとも現地は伝えている。
 世界銀行によると、インドに続いて中国、メキシコ、フィリピン、エジプトが2020年の海外送金の上位5カ国に引き続き含まれている。インドの送金受領額は760億ドルと推定。パンデミックで9%減少している。

#特定技能


 在留資格「特定技能」を新設した改正出入国管理法は2019年4月1日に施行。人材不足が深刻な14業種を対象に、一定の技能と日本語能力のある外国人に日本での就労を認める。単純労働での外国人材活用に門戸を開く。

 新在留資格「特定技能」は2段階。「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に与える「1号」は、単純作業など比較的簡単な仕事に就く。最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば取得できる。在留期間は通算5年で、家族の帯同は認めない。
 さらに高度な試験に合格した人に与える「2号」の在留資格は1~3年ごとに更新ができ、更新時の審査を通過すれば更新回数に制限はなく配偶者や子どもなどの家族の帯同も可能。建設や造船などの業種で将来の導入を検討している。
 外国人労働者は過去最高の水準。ベトナム、中国、フィリピン、ネパールなどからの技能実習生や留学生のアルバイトによるもので、中国や東南アジアからの労働者の受け入れが進む一方、世界最大の労働者の送り出し国であるインドからの受け入れには大きな変化は見られなかった。
 インド人労働者の受け入れが進まない理由は、日本で就労する魅力が乏しいからだ。インド人労働者の多くはUAE、サウジアラビア、オマーンなどの中東や、米国、英国、豪州、シンガポールといった英語圏で就労している。日本は低スキルの労働者の受け入れを原則認めておらず、インドには技能労働の制度の認定送り出し機関がほとんどない。

#介護でも始まる


 高度人材や留学生は、アメリカを中心に英語圏での就職・留学を希望し、日本では日本語能力が必要でハードルは高い。インド人が強い関心を持つ昇進制度も透明性がなく、日本独特の企業文化や、帯同する子どもの教育環境が整っていないことが足を遠ざける状況を生み出している。ネパールからの留学生や技能実習生が近年急増しているのとは対照的になっている。高度人材か低スキルなのかの違いが大きいが、インド国内にはネパールのような貧しく勤勉で異文化への適応能力が高い地域の人々も多い。日本での就労の機会があるという情報がいきわたっていないことが大きな原因になっている。
 インド人労働者が日本を目指す例が増えてくるだろう。低スキル労働者については、2017年10月に締結された技能実習制度に関する日印間の協力覚書を受けて、認定送り出し機関が設置された。
 介護分野では初めてとなるインドから日本への技能実習生2人が2019年3月ベンガルールを出発、関西空港に到着した。高度人材については、欧米での移民受入厳格化を受け日本にチャンスがめぐってきている。米国では、高度な専門知識を有する労働者向けの査証である「H1-B」ビザの発給がトランプ政権発足後から抑制傾向にあり、2017年の発給数は前年を下回った。このうち7割強を占めるインド人向けは小幅増加しているものの、ビザ発給厳格化はインド人労働者に大きな影響を与えている。

#技能評価試験実施国


 改めてだが、特定技能とは。14業種の仕事は、単純労働を含むことからこれまでは外国人の雇用が難しい状況だった。少子高齢化の影響は非常に深刻で、国内では十分な人材が確保できないということから、外国人の就労を認める在留資格の創設となった。
特定技能1号
特定技能1号は、特定産業分野において、相当程度の知識または経験を持つ外国人に向けた在留資格 。特別な育成や訓練を受けることなくすぐに一定の業務をこなせる水準であることが求められる。海外に住む外国人が特定技能1号の在留資格で来日するには、日本語スキルに加え、仕事に関する知識・経験に関しての試験に合格することが必要。特定技能1号は、就労ビザのひとつなので理論上は出身国の国籍を問わず取得することが可能だが、特定技能評価試験の実施国は限られいた。2020年4月時点で特定技能の二国間協定を締結している国は、フィリピン、カンボジア、ネパール、ミャンマー、モンゴル、スリランカ、インドネシア、ベトナム、バングラデシュ、ウズベキスタン、パキスタン、タイ の12ヵ国です。

#技能実習との違い
特定技能2号とは。
特定技能2号は基本的に特定技能1号の修了者が望んだ場合次のステップとして用意されている在留資格。2021年度に建設業と造船・舶用工業の2業種にて試験をスタートする予定。
 特定技能と技能実習は名前が似ている。ともに1号・2号の区分がある。目的や認められる活動が全く異なる在留資格とされている。技能実習は日本の技術を学んでもらい母国に持ち帰ることで経済発展に役立てていただく国際貢献を主な目的。技能実習法第3条第2項には、「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない。」と記載されている。飲食店の盛り付けなどの単純労働は行えない。特定技能は、外国人の方を労働者として受け入れる在留資格。人材不足の産業に戦力となる人材を提供することが目的。広い範囲の労働を行なうことができる。

 技能実習からの移行。特定技能の在留資格を取得する方法は「特定技能評価試験に合格する」 もしくは「技能実習2号を修了する」 のいずれか。合意した国との間では14業種すべての試験を実施しているが、国内では、飲食料品製造業、介護、ビルクリーニングなど一部業種のみ試験を実施。このため特定技能がスタートしてから約5年間に受け入れる外国人労働者のおよそ45%が技能実習からの移行者と言われている。技能実習の仕事と特定技能の仕事せず移行対象職種として認められていない ものもある。

 特定技能評価試験とは。在留資格の「特定技能」を取得した14業種の技能水準を評価する試験。業種ごとに試験内容や試験の開催場所、日程、合格の難易度もさまざま。外食なら食品衛生における飲食物の適切な取り扱い方から調理、接客までの知識や技術、さらには管理能力を求められる。実務経験年数が合計平均2年程度であれば、準備せずに受験しても5割程度が合格する難易度に設定されているとのこと。試験はパソコンの画面に表示される問題を画面上で解答するコンピュータ・ベースド・テスティング(CBT)方式。

 
 2019年12月にフィリピン海外労働事務所(POLO)の東京事務所は、2019年4月に改正された日本の入管法に基づいて新たに認められた在留資格「特定技能」によって、日本で働くフィリピン人受け入れの申し込みを12月4日に開始している。インドよりかなり早い。

以上、ポイントは。。。
#協力覚書承認
#労働力不足644万人
#特定技能
#介護でも
#評価試験実施国
#技能実習との違い
#フィリピンなどが先行

 日本企業での就労経験のあるインド人との新ビジネスやインド人訪日観光客の誘致も大きな可能性が広がる。インド人がやってくる、状態になるのは、そう遠い将来のことではないかもしれない。

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