【スパイスのスパイス】1:ターメリック

 きっかけは、インドの少年「占星術師」アビギャ・アナンドのコロナや世界の危機に関する予言が大きな注目を集めたことだ。ターメリックがコロナに「効く」と言ったとも伝えられているが、インドの一人の「予言」に科学的根拠があるかどうかよりも、不安は人々を何に向かわせるかに興味がわいた。疑似科学と代替療法を否定する側の根拠も知りたくなった。チェンナイの住宅街でターメリックと薬草のニームを水で溶いた「自然消毒液」をまく人々の姿を時事AFPが写真で報じている。
 ターメリックについては、インドでも様々な効用についての報道がある。ウイルスに対抗する力があるのだという。
 ターメリックはカモミールティーとザクロと一緒にという記述もある。心臓病や2型糖尿病、太りすぎなど持病があるとそちらに効いているのかもしれない。果物、野菜、香辛料、ハーブに風味と色を与える原因となる植物化学物質が豊富な食事は、腸の健康を改善し、免疫力を改善する。体重増加と座りがちな生活が健康によくないことはわかっている。
 ターメリックと、生姜、アシュワガンダ、モリンガ、レイシマッシュルームなどとのブレンドも紹介されている。AYUSH省が免疫力を高めるためにゴールデンターメリックミルクを推奨しているとの記述もある。
 2020年11月17日の記事より。古来から伝わるヒンズー教の伝統医学「アーユルベーダ」によって、新型コロナへの感染を避けることができると信じる人は多い。代替医療需要に乗じて、ターメリック入りの牛乳やバジルの成分を抽出したドロップなど、かつては家庭で作っていた薬が商品化されている。アーユルベーダとヨガの大物指導者ババ・ラームデーブ(Baba Ramdev)氏が運営する企業、パタンジャリ(Patanjali)が開発したハーブ飲料がテレビで宣伝されている。インド産業連盟(Confederation of Indian Industry)によると、アーユルベーダ業界の市場規模は年間100億ドル(約1兆円)に上る。新型コロナのワクチンや治療法が確立していないことから、慣れ親しんだ自然治療薬への傾倒が起きている。
 アーユルベーダはサンスクリット語で「生命の科学」を意味する。モディ政権は2014年、アーユルベーダやヨガ、自然療法などを推進する伝統医学省(AYUSH)を新設した。同省は今年1月、新型コロナウイルスと闘うための手段として伝統療法を宣伝した。ハルシュ・バルダン(Harsh Vardhan)保健相が、無症状および軽症の新型コロナ感染者をアーユルベーダとヨガで治療するためのガイドラインを発表している。大手乳業メーカー、マザー・デイリー(Mother Dairy)が発売した子ども向けのターメリック入り牛乳には消費者から強い反応。
 代替医療に対する渇望は疑似科学的な問題の多い主張を生む。インド人民党の政治家の中には科学的証拠がないにもかかわらず、牛のふん尿を新型コロナの治療に用いるよう推奨する動きもあった。医師でもあるバルダン保健相に対し、インド医師会(Indian Medical Association)は、アーユルベーダとヨガが新型コロナの治療に効果があることを示す証拠を提出するよう要求した。
 クルクミンは鮮やかな黄色を持つ。天然の食用色素。ウコン色素、ターメリック色素の名で漬物、水産ねり製品、栗のシロップ漬、和菓子などに用いられる。そう、あのあれ。鮮やかな黄色は弱酸性では赤褐色になる。俗に、「抗酸化作用がある」「肝臓によい」「発がんを抑制する」などとされる。人間での有効性・安全性に関して、信頼に足る立証はなされていないとされる。植物が由来の化学物質で、植物が自分達の身体を守るために作り出す自己防衛成分-野菜の色素や辛味成分に分類され、ポリフェノール類の一種でもあり、抗酸化物質としても知られている。
 新型コロナ感染時に避けたほうがよい補助食品、との報道もあった。仏当局た免疫反応を妨げる恐れがあると指摘しているという。フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)は2020年4月17日、いくつかの栄養補助食品の摂取に注意を促すプレスリリースを発表した。ANSESがあげるのは、いずれも「非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)のように機能する抗炎症特性を持つ植物」で、具体的には「ヤナギ、メドウスイート、バーチ、ポプラ、アキノキリンソウ、ヒメハギなどのサリチル酸誘導体(中略)を含む植物のほか、別の抗炎症成分をもつライオンゴロシ、エキナセア、ターメリック(ウコン)、キャッツクロー(中略)、ボスウェリア属やコミフォラ属の植物」。つまり報道によるとターメリックが含まれている。専門的なことになるので詳しくはこちら。この情報自体が4月のもの。情報の更新にも注意を要する。専門家や政治家の発言も。
 ウコンは鬱金、欝金、宇金、玉金とも書く。英語ではturmeric。ショウガ科ウコン属の多年草。インドが原産であり、紀元前からインドで栽培されている。「鬱金」の原義は「鮮やかな黄色」。インドネシア原産でクルクミンの含有量が多く薬効が強い変種ジャワウコン(Javanese turmeric)はクスリウコンという呼び名で日本でも流通している。 ヒンディー語・ウルドゥー語・グジャラーティー語のハルディ (Haldi) でも知られる。
 日本ではカレー粉に用いられるほか、クルクミンの肝機能への影響を期待して二日酔い対策ドリンクの原料にも用いられる。春ウコンの生薬名は姜黄(キョウオウ)。主用途は健康食品など。黄ウコンやワイルド・ターメリックとも。苦く黄色で、ミネラルや精油成分が豊富。紫ウコンの生薬名は莪朮(ガジュツ)。主用途は中医学漢方など。白ウコンや夏ウコンとも。本来のウコンは秋ウコンまたは赤ウコンともいう。
 インドはウコンの生産量・輸出量で世界一。地下に肥大した濃黄色の根茎を水洗して皮を剥き、5-6時間煮た後2週間ほど天日で十分乾燥させて細かく砕き使用する。沖縄県では煎じたものを飲料として用い缶入りの「うっちん茶」も多くのメーカーから発売されている。
 カレーの黄金色はウコンの色。からしや沢庵漬けの色付け、繊維染料として黄袋などにも用いられる。インドや東南アジアでは、スパイス、染料、切り傷の外用薬、化粧用のパウダーとして利用されている。炊飯に使うことも多い(ターメリックライス)。ヨーロッパでは、マーガリンやチーズの着色に使われている。パエリアなどに高価なサフランの代わりとして利用されている。
 俗に肝機能を増進するといわれ、二日酔いの抑止効果があるかのような宣伝を行う錠剤やドリンク剤が多数発売されている。炎症を軽減するという主張は、強い根拠に基づくものではない。日本肝臓学会の診断基準を満たした薬剤性肝障害症例(14施設 84症例)のうち、ウコンによる薬剤性肝障害は25%を占めたとされた。ウコンの有効性および安全性は、まだ十分に検討され尽くしていないため、今後もウコンやその成分についての様々な検討が必要であり、その点について研究が進められている状況である。
 ターメリック(ウコン)は本当に体にいいのか気になる。米国メリーランド大学医療センターはターメリックがバクテリアやウイルスの撃退にも有効とする研究報告を発表との記述もある。
 クルクミンの薬効を疑う指摘も。米医学誌「ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー」では、ミネソタ大学の研究チームが、クルクミンが効果を発する条件が定まらないとして不安定性を指摘。薬剤開発に向いていないと発表した。
 クルクミンがメンタル面にもたらすメリット。クルクミンを摂取した人は、プラシーボ(偽薬)を飲んだ人より、運動中のストレスが少ないことを示す研究についての記述

 ターメリックコスメを愛用しているのが、モデルであり美容のトレンドセッターでもあるミランダ・カー。自身が手掛ける「KORA Organics(コラ・オーガニックス)」のターメリック入りマスクを使って頻繁に角質ケアをしているという。ミランダは、「ターメリックを取り入れるようになってから、長年気になっていたおでシミが薄くなってびっくりした」と英Standardに話した、との記述もある。
 タイ僧の袈裟はターメリックによって染められている。黄衣。邪悪なものを避ける力や浄化作用。防虫・抗菌効果があるのかどうか。
 王室を離脱後、自由な活動を展開しているメーガン妃が個人投資家として新たなビジネスに乗り出した。女性起業家が立ち上げたウェルネス企業「クレバー・ブレンズ」に投資した。企業は妃が現在住んでいるサンタバーバラを拠点に、オーガニックのターメリックやオーツミルク、ジンジャーなどを使ったインスタントラテやチャイを販売している。
 タイに住む女性が白い愛の真菌感染症を取り除くため、感染した部分に黄色いターメリックを塗った。今後の感染予防も考えて猫の全身にターメリックを塗ったがその後、色が落ちなくなった。SNSで公開。『LADbible』『Bored Panda』などが伝えている。ターメリックが猫の感染症治療に効くかどうかは明らかになっていない。
 鮮やかな黄色に人知を超えた力を感じる人は多いのだろう。

 

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【スパイスのスパイス】1:ターメリック” に対して2件のコメントがあります。

  1. 管理者 より:

    コメントありがとうございます。
    いろいろ書いていただけると嬉しいです。

    黄色は光や太陽を連想させますね。
    カレーもパワーがでます。

  2. 匿名 より:

    > 鮮やかな黄色に人知を超えた力を感じる人は多いのだろう。

    たしかに、あの黄色を見ていると気分が良くなってきます。

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