【食】チャイ

インドの茶の一種。マサーラー・チャイともいう。インド式に甘く煮出したミルクティー。ロシア語、ペルシア語、トルコ語でも茶を「チャイ」という。インド亜大陸北方ではチャイが好まれ、南方ではインディアンコーヒーが好まれる。インドを鉄道で旅行すると北方では車内販売でチャイが売られているが、南方に行くにつれコーヒーが売られる頻度が上がっていく(引用)。

庶民的な飲み物。鍋で少量の水で紅茶を煮出す。ミルクを足して更に煮出す。大量の砂糖を加えて煮出す。植民地時代にインドで作られた紅茶のうち、良質のものは全てイギリスに送られ、インドの庶民には商品にならない紅茶の葉だけが残された。ダストティーと呼ばれる細かいほこりのような茶葉。英国式にティーポットとミルク、砂糖を別々に供するものもある。良質の葉を煮出さずにやさしく使う。

非常に甘いので大きなカップでは飲まない。お菓子を食べる感覚。茶葉を水から煮て数分沸騰を続けたところでミルクと砂糖を加える。再沸騰したら火を止め、1分ほど蒸らしてから茶漉しを通して器に注ぐ。これを3度繰りかえすこともある。

香辛料を使ったマサーラー・チャイはショウガ、カルダモン、シナモン、胡椒、クローブを加える。粉末を用いるが家庭では粒や粗い塊のまま使うこともある。私は毎朝カルダモンを砕いていれてもらっていた。贅沢。香辛料専用の金属製のすりばちで潰してから入れる。香辛料は茶葉と共に水の段階から入れる。

陶器よりも金属器のほうが清浄なものという考え方がある。ティーカップと皿より金属の浅く広い器・細く深い器の組み合わせで出てくる。厚手のガラスコップをつまむこともある。露天のチャイ屋(チャイワーラー)や鉄道の車内販売などでは、小さな素焼きのカップ(クリ)で提供される。使用後そのまま使い捨てにする。プラスチックのカップは社会問題になっている。

茶葉まで食べられるフルーツティーもある。ドライフルーツを使った食べられるお茶「ティート」。カフェインもなくリラックスタイム。クリを食べるという話も聞いたことがある。

京都に本場インドのスタイルでチャイを提供する店がオープンし注目を集めた。「Watte Chai(ワッテチャイ)」は文字通り素焼きの器を割る。宇治橋通り商店街。カースト制度の概念が残るインド。人の使った器は不浄なものとされることと関係があるのか。飲み終えたら路上に投げ落として割って捨てる。捨てられた瓦礫は土に還る。手で握りつぶせるほどの強度。ストレスは解消されるのか。割れないとストレスは貯まる。

京都にはかわらけを投げる風習がある。こんなところとどこか発想が結びついているのかもしれない。かわらけ投げで疫病退散を狙うのは弘法大志ゆかりの高雄山神護寺。京都は東、北、西の三方を山に囲まれている。その山を見て暮らした。山からは川が流れ下り、山紫水明の景観をつくる。北西にあるのが愛宕山。比叡山と同じように愛宕山も信仰の山とされてきた。愛宕五寺と呼ばれる寺のひとつ「高雄山寺」。駆け出しの記者時代に取材した。神護寺の前身だとのこと。高尾山神護寺のかわらけ投げ。フリスビーのように回転させてもあまり遠くには飛ばない。うまいひとはうまく風に乗せる。みな土に帰る。

プラナチャイの茶葉はハチミツ入り。100%セイロンティーとオーストラリア産蜂蜜をベースに、世界各地から集めたスパイスをブレンドしたチャイティー。様々なチャイが生まれる。

チャイ専門店を開いた大久保玲於奈さんに話を聞いた。インド出身の父親が日本人の母のためにスパイスの量や作り方などを調整したチャイを毎日のように作っているという。チャイは世界的にもコミュニケーションのツール。