カレーのわき役【アチャール】

アチャールは南アジアの漬物。カレーの付け合わせでよく提供される。タマネギ、ニンジン、キュウリ、セロリなどの様々な野菜。マンゴー、パイナップルなどの果物。トウガラシなどのスパイス、塩、酢やレモンの果汁、食用油などで漬けて作られる。1860年代に設立されて以来、インド最高の漬物ブランド「ハーナレイン」(Harnarains)も知られる。農作物が不作の時に備える保存食として作られ常温での保存が2年以上可能なものもある。
チャツネは影の薬味。アチャールは表のわき役。福神漬けのような存在。お刺身のわさび、焼き魚の大根おろし、ちらしずしの紅しょうが。

必須な原料はトウガラシ。夏に仕込みを行い、モスリンの布で覆って太陽にさらす。北部ではマスタードオイルを好む。南部の州ではゴマ油とスパイスの効いたアチャールを好む。

「パクランガ」(pachranga、「5色」の意味、5種の野菜で作られる)。「サトランガ」(satranga、「7色」の意味、7種の野菜で作られる)。生のマンゴー、ヒヨコマメ、蓮の実、カロンダ、ユカン、ライムなどを、スパイスとともにマスタードオイルに漬け込んで熟成させる。カロンダ(Carissa carandas)は、古代インドのアーユルヴェーダに用例がある他、漬物、チャツネ、ジャム、ゼリーなどとして食され、呑酸、消化不良、傷、皮膚疾患、尿障害、糖尿病性潰瘍を治療するとされる。

インド南部では、ほとんどの野菜がスパイスとともに天日干しされる。乾燥することで保存の効く食品となる。テランガーナ州とアーンドラ・プラデーシュ州は、スパイシーなアチャールで有名。マンゴーとニンニク、ショウガのアチャール、タマリンドと青トウガラシのアチャールは定番。魚とエビのアチャール、ピリ辛のラムとチキンのアチャールも有名。

タミル・ナードゥ州はマンゴーのアチャール。保存工程にヒマシ油が使われて独特の風味がある。タミール人はまた、天日干ししたトウガラシに塩味のヨーグルトを詰めた「mor molagai」と呼ばれる乾燥調味料を作る。米と一緒に食べられる。魚を塩漬けして天日干ししたカルヴァドゥ(karuvadu)も作られる。アンチョビーから作られたネティリ・カルヴァドゥ(Nethili karuvadu)は人気がある。

ケララ州でマグロとイワシを細かく刻んでスパイスでマリネした後、加熱調理したミーン・アチャール(meen achar)が作られる。

パキスタンのシンド州のシクラプリ・アチャールは1600年代、中世インドで生まれたと考えられている。ニンジン、カブ、タマネギ、カリフラワー、ヒヨコマメ、ニンニク、青唐辛子、ライム、マンゴーで作られるミックス・アチャール。

ネパールでは、ラプシ(Lapsi))と呼ばれる果物とホット・レッド・チェリー・ペッパー(hot red cherry pepper)が用いられる。

ビルマ語ではタナット(thanat)と呼ばれ、マンゴーのタナット(thayet thi thanat)が最も普及している。ビルマ料理のカレーやビリヤニと一緒に供され、ウェットタナトヒンと呼ばれる伝統的なビルマカレーの主原料でもある。

南アフリカのボツワナではアチャールはパンとともに食べられる。

 

ポルトガル語の「achar(アチャール)」は野菜や果物を使った漬物のこと。ネパールでは「チャーレ」、フィリピンやインドネシアでは「アチャラ」、アフガニスタンでは「オチョール」という漬物がある。日本の「あちゃら漬け」もポルトガル語の「achar(アチャール)」に由来している。

 

コリアンダーの白菜漬け。昆布と唐辛子、柚子の皮のものとは異なる。

【材料】1~2人前
・白菜 3枚程度(200g)
・塩 4g(白菜の2%)
・七味唐辛子 小さじ1/4(一味唐辛子でも可)
・コリアンダーパウダー 小さじ1/2

ジッパー付きの保存袋に白菜と塩とコリアンダー、七味唐辛子を入れしんなりするまで軽く揉む。完成。

 

ポルトガル名のわき役がいて料理は旨くなる。