バーフバリの州から

総選挙の投票は地域ごとに計7回実施されるため約1カ月かかり、5月19日に終了の見通し。11日の最初の投票は南部のアンドラプラデシュ、テランガナ州など18州で実施。アンドラプラデシュはテルグ語の州。テルグ映画の州はバーフバリで知られる。富山でロケされたテルグ語映画『Something Something』(2013)の映像をYouTubeで見ると、傘とサントゥールの音色がマッチする。
 総選挙は、下院の543議席が争われ、272議席以上を獲得した政党もしくは連立工作に成功した諸政党が新政権を発足させる。現有議席は、インド人民党が269議席、国民会議派が45議席。約9億人の有権者のうち、今回初めて一票を投じるのは8430万人。18歳・19歳は1500万人。投票は電子投票機で行われる。選挙管理委員会は不正侵入や集計操作は不可能としている。、投票を終えた有権者は指に消えないインクを付け再投票ができない。投票所は全国に約100万カ所以上設置され、集計開始は5月23日朝から始まる。4月11日、18日、23日、29日、5月6日、12日、19日の7回にわけて行われる。
 アンドラプラデシュ州は2014年6月に、分割され州都のハイデラバードを含む地域がテランガナ州となった。移行措置として、テランガナ州の州都は2024年までの移行期間を経てハイデラバードになり、アンドラプラデーシュ州庁舎はアマラーヴァティーへ州都に移る予定。アンドラプラデシュは、『ラーマーヤナ』、『マハーバーラタ』などのインド叙事詩の中に名前が出てくるほど歴史が古い。独立王朝があったが、1948年ポロ作戦でインドに併合された。気候はきびしく乾期は暑さで貧困層を中心に熱中症死者が多数発生する。2015年5月には、最悪の熱波に襲われ、テランガナ州と合わせて1,800人以上の死者を出した。
 富山県はこれまで、インドとの経済交流を進めている。2014年には、医薬品分野で県薬業連合会とインド製薬工業会が交流に関する覚書を締結し、2013、2014年には富山県においてインド映画のロケが実施された。2013年の「Work Like Fire Kumaru(炎の男クマルのように働け)」というラブコメディー。2014年の秋には、「JUMBULINGAM 3D」が撮影されている。2015年10月にインドのアンドラプラデシュ州の訪問団が来県し、富山県と「交流・協力に関する覚書」を締結した。

テルグ語映画は、テルグ語で製作されたテランガナ州に拠点を置く映画産業。「トリウッド(Tollywood)」の通称で知られ、ハイデラバード近郊のフィルムナガルで製作されている。ボリウッドに次いで2番目の規模を誇る。製作者ラグパティ・ヴェンカイアー・ナイドゥは、1921年には初のテルグ語サイレント映画『Bhishma Pratigna』を製作し「テルグ語映画の父」と称される。1992年の『ならず者の婿殿』は、テルグ語映画として初めて1億ルピーの興行収入を記録。2012年公開の『マッキー』は、12億5,000万ルピーの興行収入を記録した。2015年公開の『バーフバリ 伝説誕生』は非ヒンディー語映画として初めて10億ルピーの興行収入を記録。

 ハイデラバードで生まれた著名人にはナイドゥがいる。「インドのナイチンゲール」の異名をとったサロジニ・ナイドゥは、社会運動家,政治家として活躍した。バラモンの家に生まれたが、下層カーストの医師ナイドゥと結婚。1925年女性としては初めてインド国民会議派総裁となり、マハトマ・ガンディーと政治活動に従事し、数次にわたって投獄された。 伝統の政治の土地がら。
 海側がアンドラ、陸がテランガナになる。テランガナは映画、アンドラは日本企業の進出で注目される。
 日本企業のインド進出は、デリー、チェンナイ、ムンバイ、ベンガルールに集中しているが、グラジャートとともに、進出が増えているのが、アンドラになる。アンドラプラデシュ州では、南部のスリシティ工業団地に三井化学と東レが工場を建設。土地が安く、工業団地ではASEAN各地につながるチェンナイ近郊の港湾を利用することができる。アンドラプラデシュ州は、他州に先駆けて、法人設立に必要な24の許認可を21営業日以内に処理する「Single Desk Portal」を立ち上げた。インド商工省産業政策促進局(DIPP)が世界銀行の協力の下で実施した「州別ビジネス環境改革評価2017」(29州と7の連邦直轄領が対象)では、AP州が1位を獲得し、ビジネス環境が高く評価された。アンドラプラデシュ州は、2030年までに州内の公共バスをEVに移行としている。太陽光および風力発電で計18ギガワットの電力供給を計画している。アンドラプラデシュ州のスリシティーでは日本企業の17社が操業している。主な日系企業はいすゞ、コベルコ建機、ユニチャーム、豊通レアアース、エーザイなど。
 ナイドゥ州首相は、第一期政権時代(1995~2004年)にインド第2のIT都市ハイデラバードを発展させたといわれ、モディ首相がひな形ともいわれている地方たたきあげの政治家。2014年の来日時に州内に「日本デスク」を設置し手続きを一元化し日本語を話す担当官をつける意向を示した。日本語版パンフレットには担当ごとの連絡先を記し積極的に日本企業の受け入れを行っている。
 アンドラプラデシュの代表的な政党は、テルグ・デサム党で、テルグ語圏であるアンドラ・プラデーシュ州とテランガナ州の地域政党。党名は テルグの土地と人々の党 を意味する。1982年、テルグ語映画のスター俳優だったN・T・ラーマ・ラーオが創設し、1984年の総選挙で国政第2党、野党第1党となった。ラーオの娘婿であるチャンドラバーブ・ナーイドゥが党首と州首相のポストを引き継いだ。ナイドゥは当初、ジャナタ・ダルや共産党などと連携したが、バジパイ政権のインド人民党を支持した。IT産業の振興に努め、ハイデラバードはベンガルールとならぶIT都市として発展した。国民会議派に連邦と州の双方の政権を明け渡すことにもなったが、2014年の州議会選挙では単独半数を超える議席を得て大勝し、10年ぶりに州政権を獲得している。

「大国の主導権を争う闘い」が始まった。

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