AI25歳
格安ホテル予約サービスの「オヨ・ルームズ(Oyo Rooms)」の創業者のリティッシュ・アガルワルは、一九九三年十一生まれでまだ二十五歳だ。掃除されていない部屋、訓練されていない受付係など、インド旅行の質を下げている問題点を自らの旅行体験から洗い出し、無料Wi-Fiや朝食、エアコンやテレビなどがあるかどうか、独自の評価基準を作成し、合格したホテルに「OYOブランド」の認証を与えるという、インドの格安ホテル版のミシュランサービスを開始し急成長した。オヨは、同様のシステムを賃貸住宅提供の分野に適用し、日本にも「インド式AIビジネス」として上陸し注目を集めている。
世界10カ国、500以上の都市でホテル・住宅事業を展開する「OYO Hotels & Homes」。創業6年で世界第6位のホテルベンチャーとなった。それが日本のホテル業界へ参入する。2019年4月、OYOはソフトバンクとの合弁会社「OYO Hotels Japan」の設立を発表した。
OYOは、AIテクノロジーを用いたフランチャイズ方式で事業展開するインド発のホテルベンチャーだ。客室数を拡大はインド国内から、中国、インドネシア、イギリスなどに広がっている。AIを使って地域の宿泊供給データをもとに宿泊需給を予測する。その結果に基づいて客室料金を変動させ稼働率を最大化させる。同じサービスを提供するのであれば同じ価格であるべきだとして、定額が常識だった価格設定にバーチャルな市場を持ち込んだ。マネジメントや収益管理にもAIを用いて経営の効率化を行う。OYOは、Sequoia IndiaやLightspeed Indiaなどの投資家から資金を調達している。それに日本では、合弁会社を立ち上げるソフトバンクが加わった形だ。
オヨの日本への上陸は、ホテル業界ではなく賃貸住宅市場だった。2019年3月、ソフトバンク傘下のヤフージャパンと合併会社「OYO LIFE(オヨライフ)」を設立した。こちらも従来の常識を覆すモデルチェンジを行っている。物件探し、契約、支払い、退去などの手続きをスマートフォンで行える。敷金・礼金・仲介手数料を払わずに、家具や家電、Wi-Fi、公共サービスのついたの物件を借りることができる。面倒の多い保証人や書類作成などの賃貸手続きをできるだけ少なくするもビジネスモデルして話題を呼んだ。
OYOが注目を集める背景にあるのはホテル業界の過当競争だ。外国人観光客にとってホテル情報は納得できる形で収集したい。リテシュ・アガルワル氏は、「国内および海外からの旅行者に独自のおもてなしをする」と日本での事業の抱負を語っている。経営者の高齢化で客室数は減っている。OYOの参入で、ホテル業界は低価格競争が激化していく。