宣戦布告

トランプ政権がインドに宣戦布告をした。トランプ大統領は5月31日、インドをGSP・一般特恵関税制度の対象から除外する大統領布告を発表し、6月5日から適用された。GSPは開発途上国・地域の経済発展を促すことを目的に、これらの国からの米国への輸入にかかる関税を一部免除する制度。 2018年のインドからのGSPを利用した輸入額は、前年比10.3パーセントの増の約66億ドルで、GSP対象国の中で最も大きい。自動車部品、核酸、ステンレス製の食卓用品など、アメリカの対インド輸入額の一割を超えている。
 大統領布告に先立ち、通商代表部(USTR)は3月4日、トルコもGSPの対象から除外すると発表していた。通知から60日が経過しての適用となった。インドの除外理由は、複数の産業分野において、公正かつ合理的なアメリカの市場アクセスが損なわれているためとしている。
 インドとアメリアの貿易摩擦は、2018年から加熱した。アメリカの乳製品業界と医療機器業界が貿易障壁の撤廃を訴え、商務省がインドを見直し対象に指定していた。インドは、アメリカの1962年の通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウム関税に対する報復として、アーモンドやリンゴなどへの関税賦課の発動を決めているが、発動日をたびたび延期してきた。
 インドがGSPから除外されたことにより、これまで適用対象外とされていたインドの大型家庭用洗濯機と太陽光発電製品の輸入に対するセーフガード措置・緊急輸入制限措置も、6月5日に適用された。アメリカによるセーフガードの発動は2002年以来のことになった。
アメリカの1974年通商協定法201条は、輸入が国内産業への重大な損害の恐れとなっていると認定された場合、原則4年以内の一定期間、全ての輸入国に対して特定産品にかかる関税の引き上げや関税割当などのセーフガード措置を発動する権限を大統領に与えている。
 大型家庭用洗濯機の輸入は2017年10月5日に国内産業の重大な損害の要因になっていると認定されている。セーフガード措置は、原則、全ての貿易相手国からの輸入が対象になるが、開発途上国であるインドからの輸入についてはGSPがあるため適用除外となっていた。自由貿易協定を結んでいるカナダは適用除外となっている。
 洗濯機とば別の一つの適応除外となったのが太陽光だ。トランプ大統領は1月23日、太陽光発電製品の輸入に対してもセーフガード措置の発動を命じる大統領布告を出している。発電量2.5ギガワット相当を超える太陽光発電セル(厚さ20マイクロメートル以上の結晶シリコン製)が輸入された場合に年ごとにセーフガード関税を通常の関税に上乗せで賦課されることになった。
 メイク・イン・インディアの勢いに乗ろうと、外国企業がインド国内で、洗濯機や太陽光パネルを作っても、途上国の特権を生かしてアメリカに輸出するこことができないのだ。インドの行く手を塞ぐ、脅しだから、宣戦布告といっていいだろう。

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