貧困の経済学者

受賞したのはコルカタ出身の経済学者。スウェーデン王立科学アカデミーは10月14日、2019年のノーベル経済学賞をインド出身で米マサチューセッツ工科大(MIT)教授のアビジッド・バナジー氏ら3氏に授与すると発表した。授賞理由は「世界的な貧困の緩和への貢献」。
 バナジー氏はアジアからの受賞者としては1998年のアマルティア・セン氏に続き2人目。共同受賞のデュフロ氏は46歳で史上最年少の受賞で、女性としては09年のエリノア・オストロム氏に続いて2人目の受賞でもあるが、注目は、バナジー氏とデュフロ氏は夫婦で同時受賞となったことだ。
 3氏の功績は、貧困の具体的な解決手段を実験により効果を確かめて提唱。学校教育や子どもの公衆衛生の改善に注目した。1990年代半ばにケニア西部で実際に子どもの成績を改善するための実験を繰り返すなど「小さくても実践的な問題に取り組んだ。貧困に直面する生徒たちに「教科書」か「無料の食事」かのどちらが学習への効果が大きいかを比較した。研究成果は実際に生かされ、インドでは500万人以上の生徒が、受賞者の教育プログラムの成果を享受したという。
 アビジット・ヴィナヤック・バナジーは、インド・コルカタ生まれの経済学者。貧困行動革新(Innovations for Poverty Action)という団体の研究者。2013年には、当時の国際連合事務総長の潘基文から2015年以降にミレニアム開発目標を更新する専門家委員に任命された。
 アマルティヤ・センもベンガルの出身。コルカタ大学で学んだ。貧困はなぜ起きるのか、インドには、考えるのをやめられない人たちがいる。

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