新幹線の黄信号

マハラシュトラ州の新首相が、ムンバイからグジャラート州アーメダバードまでの高速鉄道整備を再考する考えを示した。新幹線方式が採用され、日本政府が資金協力している大型プロジェクトnに思わぬ障害が表面化している形だ。外国からの大型投資を支持率の基盤のひとつとしてきたモディ政権は足元の確認が必要になっている。
 夢の新幹線ともてはやされた高速鉄道。現在8時間かかるムンバイとアーメダバード間(508㎞)が3時間以下で結ばれる。総工費約1.1兆ルピー(約1兆7000億円)とされている。約80パーセントはJICA(国際協力機構)の低金利の円借款で賄われる。完成は2023年を目指しているが、なかなか重い腰があがらない。用地買収が思うように進んでいない。
 マハラシュトラ州では2019年10月に州議会選が行われた。インド人民党に対抗する3つの政党が連立を組むこととなり、ウダフ・タークレー新州首相は、高速鉄道プロジェクトの再考を求めると発言。タークレー氏はヒンドゥー至上主義のシヴ・セナ党の党首。インド人民党とは友党の関係にあるはずなのに、である。マハラシュトラ州では用地買収が難航。必要とされる1340ヘクタールの用地のうち、取得できたのは705ヘクタールとまだ半分。農地を失うことを恐れる沿岸部の住人の反対運動が続いている。ムンバイではまだ80万世帯が屋根のない場所で生活している。新幹線に使う大金はない。
 中国では国の主導で高速鉄道の導入が進められたが大きな事故があったことも記憶に新しい。
中国高速鉄道の負債は3000億ドルにのぼっている。インドで「高速」が必要なのか。速さだけを比べればレールのいらない航空機が勝る。料金も5000円程度だ。現在の路線の改良で十分ではないかと見方も根強い。
 インドは日本の最大のODA対象国。 公共インフラの円借款供与がその中核。モディ首相初来日の2014 年の日印首脳会談で、5 年間で 3. 5 兆円の投融資が日本から供
与されることになった。北東部支援、貨物鉄道事業などテーマも多い。インドへの円借款は増加が続いている。2018年度の供与約束額は、5,347億円に達した。運輸の他、電力、上下水、農業・森林、教育など多岐にわたり、実施中の案件数は実に6565事業に上る。新規案件も、北東部メガラヤ州の森林保全、マハラシュトラ州ナグプールの河川浄化事業、マディヤ・プラデーシュ州の地方給水事業、グジャラート州の森林保全事業など、列をなしている。インド支援の成功例として言及されることの多いデリーメトロから分野が急速に広がっている。モディ政権は2025年までに5兆ドル経済の達成を目標に掲げている。 問題は事業を担う人づくりだ。

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