初外交
総選挙で勝利したインドの第2次モディ政権の外交が始まった。モディ首相は最初にインド洋の島国モルディブ、スリランカを訪れた。第1次モディ政権では初めての外遊先としてブータンを選んだ。中国は広域経済圏構想「一帯一路」で南アジアにも触手を伸ばしつつある。
インド洋の近隣国との関係を強化して中国をけん制する狙いがある。インド外務省は「近隣諸国との外交を第一に優先する姿勢を明示する」とコメントしている。
モディ首相は8,9日にモルディブのソリ大統領と会談。首脳レベルの対話定期化に動く。モルディブは親中派だったヤミーン前政権下で中国から多額のインフラ建設資金を借り、対外債務が30億ドル規模に膨らんだ。インドは昨年12月、モルディブに対する財政支援策を表明。
モディ首相は9日、スリランカのシリセナ大統領と会談。スリランカは中国の資金で整備した南部のハンバントタ港の融資返済に困り、中国企業への港の長期貸与を余儀なくされている。
モディ政権は、中国けん制だけの外交をするわけではない。農業振興のための、インド産大豆などの対中輸出の拡大も課題だ。敵は中国のほかに、アメリカにもいる。米国と対立を深める中国をけん制しつつ、米中のいずれにも依存しないバランス外交を探る。米中両国での赴任経験がある元外務次官のジャイシャンカル氏を外相に起用。外務次官を務めた後、インド最大財閥のタタ・グループに入っていたが、米中高官との太いパイプが評価され要職への抜擢となった。