新型コロナへの危機対応で93パーセントの支持率を実現した首相の手腕でインドは大国への道を進むのか
体の調子はどう? 80歳以上の高齢者100人に電話をかけて、健康の具合を尋ねる。インド式ブッチ・フォン。モディ首相は、毎日午前9時頃に約3分から5分間の短い電話をかける。全国の党と組織のベテランリーダーを気遣う。長引くロックダウンに伴う苦労をねぎらう対話の試み。
最新の世論調査ではインドの93.5%以上の人々が、COVID-19の危機を適切に処理していると答えている。ロックダウンの初日にモディ政権を信頼した人の数は76.8%。2020年4月21日の時点で93.5%に増加した。質問項目は「インド政府はコロナウイルス(アウトブレイク)をうまく処理していると思いますか」というもの。感染拡大防止のための断固とした厳しい規制が支持された形だ。現政府に対する全体的な信頼も4月1日に急上昇した。89.9%の人々は、割合が79.4であった3月31日と比較して政府がうまく機能しているとしている。
今年2月にはまったく別の状況だった。デリー首都圏議会選で、モディ首相率いる国政与党のインド人民党が庶民党に大差で敗れた。前回よりはよかったものの、敗北の背景にはインドで少数派のイスラム教徒を排除する政策への反発に加え、経済低迷への国民の不満があると報道されていた。改正国籍法を巡るデモにも収束の兆しがみえず二期目のモディ政権の将来を心配する見方も広がっていた。マハラシュトラ州では2019年10月の議会選で17議席減らし、地域政党が与党なり新幹線計画への影響も心配されていた。インド人民党は2020年12月のジャルカンド州の議会選でも12議席減らし地域政党に敗北した。経済が減速し、2020年1月の消費者物価指数も前年同月比7.6%まで上昇していた。失業率も過去最悪の水準で若者のデモも増えていた。
二期目の逆風を吹き飛ばす災禍という危機の中でインドは分裂から団結へと向かっている。