なぜ中国とインドは緊張が続くのか?【ドクラム高原以来の危機を回避する3つの視点】

なぜ中国とインドは緊張が続くのか?中国との衝突でインド軍に死者20人が出た。45年ぶり異例の事態になっている。2020年6月16日、北部ラダック地方の係争地で起きた衝突で、中国軍に殺害されたインド兵が当初の3人から17人増え、計20人になったと発表した。インド北部では防空壕をつくるインド兵の姿が確認できる。中国軍にも多数の負傷者が出た模様。両国の衝突で死者が出るのは45年ぶりで極めて異例の事態。中国共産党系新聞の環球時報は「インドが実効支配線を越えて中国側で道路などの施設設置を強行。中国軍が制止した」とインド側を批判した。

 最初に軍事の視点でみてみる。にらみ合いの舞台はガルワン渓谷。ラダック地方のヒマラヤ山脈沿いの要衝。面子と筋が両国の非難合戦をエスカレートさせる。 インド軍は声明で「領土と主権を断固として守る」。インドの国防相ラジナート・シンは中国と協議を通じて解決する意向を明らかにしていた。2020年6月9日にはインド北部のシッキム州で両国軍兵士による殴り合いや投石もあった。ドクラム高地では2017年ににらみ合いが続き非常に緊迫」したものになった。

 インド軍の発表によると、衝突があったのは15日夜。2020年6月6日に両軍間の協議が行われ、緊張緩和で合意。一部で撤退に向けた動きが始まったと報じられていた。

 経済の視点で見ると、衝突はこれまでの両国の経済関係を考えると深刻な影響が心配される。両国の年間貿易額約900億ドルのうち約8割はインド側の中国からの輸入で偏っている。中国のアリババやテンセントなどのいわゆるBATHのIT大手がインドに出資。データについても警戒感が広がっている。中国の通信機器最大手ファーウェイにインド国内の次世代通信規格「5G」の試験運用への参加を認めたが、中国のシャオミがインドの携帯電話端末市場に本格参入しハイアールの白物家電も急増しメイクインインディアどころではない。完成品の輸入は困るのだ。4月に中国の企業の直接投資に政府の事前承認を要する規制を導入している。
 政治の視点で見ると、危機によってモディ首相は国民からの支持を強める。カシミール危機同様とにかく譲歩はしないと頑強に言い張っていれば支持率は高まる。外交について理解する国民は少ない。インド式民主主義の限界。貿易も投資も滞れば国民が我慢する。やっかいなのはその構造が相手方の中国も同じだということ。国内の分離勢力を抑えるために国境問題は最優先課題になっている。経済や外交は、政治や軍事のあとにまわされる。懐が深いので全面戦争にはならないのだが、民間がその痛みを吸収する。

 銃撃はなかったのか、こん棒で殴り合ったのか、転落したのか、寒さの影響なのか、衝突の詳細は不明。国境と同じように第三者がいないので、あいまいさが対立を助長する。その構造は著書で詳述した。死者も出てしまった。山の中のにらみあいだけにとどまるのかが心配だ。(画像)

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