日米豪印の外相会談はいつ実現するのか?【日米豪が一致しても印の出方は見えない】

 オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障担当)は2020年8月28日、シンクタンク「大西洋評議会」のウェブ講演で、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4カ国の安保補佐官による会合を10月にハワイで開催する方針を明らかにした。11月の大統領選が近い。中国に対する包囲網を政権としてアピールするものともみられていた。
 日米豪印4カ国の10月上旬の東京での外相会談が伝えられている。ポンペオ国務長官が来日すれば菅義偉首相と会わないはずはない。時事通信が複数の政府関係者の2020年9月18日の話として伝えている。茂木敏充外相、オーストラリアのペイン外相、インドのジャイシャンカル外相らの会談が実現するのか。リモート外交から面談外交に。実現すれば日米豪印の枠組みは2019年9月にニューヨークで外相会談が初めて開かれ2回目になる。日米豪印が連携すれば中国を刺激し日中関係にも影響が広がる。
 経済産業省は中国などから東南アジア諸国連合(ASEAN)への生産拠点の移転を促す補助金について、インドやバングラデシュも移転先の対象に加える。政府は2020年度補正予算に東南アジアに工場を分散させる補助金に235億円を計上。中国に偏っていた日本の企業のサプライチェーンの問題を修正する形。
 ビーガン国務副長官は8月末、ウェブイベントで、インド太平洋地域には、北大西洋条約機構(NATO)のような「強力な多国間体制が欠けている」と訴えている。4カ国に韓国、ベトナム、ニュージーランドを加え毎週会合を行っていることも明らかにした。ポンペオ国務長官は7月、アメリカ歴代政権の中国への関与政策を批判し、対決姿勢を鮮明にしている。「新しい民主主義国の連合」による対中包囲網形成にも言及。
 このような状況の中でインドは中国とどう向き合うのか。国境の問題が落ち着かない中で、インドが「スパイ活動」で中国人女性ジャーナリストを逮捕したとの報道もある。ニューデリーを拠点とするインドのジャーナリスト61歳のRajeev Sharmaの逮捕に関連して中国人女性とネパール人男性の2人が逮捕とのこと。シャルマは外務と防衛問題のYouTubeチャンネルを運営するフリーランスのジャーナリスト。シャルマは2010年から2014年まで、中国共産党のGlobal Times環球時報の週刊コラムを書いたとされている。
 中印の国境紛争では、ラダックで銃火器による発砲も起きている。国境地帯での発砲は一九七五年以来、四十五年ぶり。けが人はない模様。銃火器を使用しない取り決めが破られた形。六月にインド兵二十人が殴り合いなどで死亡した衝突後、インド側は攻撃への対抗措置を指揮官レベルで決定できるよう規則を変更している。2020年9月8日、チベット自治区などを管轄する人民解放軍西部戦区の報道官が「インド軍が七日に実効支配線を越え、中国の部隊に銃を発砲して威嚇したため対抗措置をとった」との談話を発表。中国軍の発砲の有無について明確には言及しなかった。インドメディアによると、中国軍がインド軍に近づき、空中に二、三発発砲。政府関係者は「中国軍の挑発行為で、インド軍も二、三発警戒発砲した」と反論。
 トランプ大統領は2020年9月4日、国境地帯での問題解決に向けてアメリカが支援の用意があると語った。「中国とインドを支援する用意がある。何かできるなら、我々は喜んで関与して支援する」。
 9月2日、インド政府当局者はロイター通信に、北東部アルナチャルプラデシュ州アンジョー東部に部隊を移動させたことを明らかにした。アルナーチャルプラデシュ州議会のタピール・ガオ議員はロイター通信に、中国軍は定期的にインド領内へ侵入していると指摘。アンジョーの一部地域は最も不安定との見方を示している。
 大統領選でのトランプ政権の存続もわからず、コロナも終息していない、日中関係もあり、外交の経験も安倍首相に比べてまだ少ない。ハワイで開くより、日本にとって難易度は非常に高い。

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