テスラのインド進出報道の背景にあるバイデン政権と大気汚染と貿易赤字

テスラが来年にインド進出との報道にいよいよかという印象がある。バイデン大統領の勝利が見えてきたころからテスラの株は急上昇。中国の安価電気自動車とインドの市場がEVの今度を左右する。日本はやっと2050までの実質ゼロを宣言したばかり。
 報道によるとインドのガドカリ運輸相が米電気自動車(EV)大手テスラが来年にインド国内で販売を開始すると述べた。ガドカリ氏は、テスラが来年からインドで販売を始め、売れ行き次第でインドでの組み立て・生産も検討するという。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は2020年12月27日、ツイッターで来年のインド進出を確認。ただし1月ではないという。事実上のリーク発表。
 2020年12月28日付の日刊紙インディアン・エクスプレスによると、編集者との会話の中で、大臣は国内での電気自動車の推進を強調し、多くのインド企業もより手頃な価格であるが技術的にはテスラと同じくらい進んだ電気自動車に取り組んでいると述べた。「インドは5年以内に自動車の製造ハブの第1位になる」とガトカリ。インドに来る最初のモデルは、より手頃な価格のテスラモデル3で、予約は数週間で開始される可能性もあるとのこと。55万ルピー以上の価格になる可能性がある。テスラは世界の他の地域と同じように直接販売。2016年、テスラはインド進出に関心を示していた。当時は、部品の30%は現地で調達する必要があり、それをサポートするための供給がインドに存在しないとされた。スズキがマルチと組んだ時代とは少し異なるのかもしれない。
 バイデン経済の目玉は再生可能エネルギーで、テスラ株は急上昇した。バイデン氏の大統領(第46代)就任は来年1月20日。財務長官には前FRB議長のイエレン女史が起用される。積極的な財政をFRBが支える財政と金融の一体化で強力なリフレ政策を進める。バイデン政権はパリ協定に復帰するとともに、気候変動対策に2兆ドル(約210兆円)を支出する計画を打ち出している地球温暖化対策の中心は太陽光発電と電気自動車。中国の習近平主席が「2035年までに、ガソリン車をゼロにする」方針を明らかにしている。テスラの時価総額は5260億ドル(約55・3兆円)。トヨタ自動車(24・5兆円)の2・3倍。EVバブルもささやかれる。
 イーロン・マスクは2020年12月20日のツイートで「We will release FSD subscription early next year.(FSD機能のサブスクリプションを2021年初頭に開始するつもりだ)」。FSDは、テスラが有料オプションとして提供している完全自動運転向けソフトウェア。車線キープおよび変更、道路標識の認識による一時停止、自動駐車などの機能を組み合わる。完全自動運転ではないが株価の高騰が続いているテスラの強気がうかがえる。
 テスラは、イーロン・マスク氏が2003年に米国で設立したEVメーカー。本社はカリフォルニア州パロアルト。完成度の高いEVを自社で開発。シャーシを自製、運転操作以外の装備をすべて大型タッチパネルに集約して近未来的な運転感覚でソフトウェアだけで幅広い領域を制御できるシステムを構築。自動運転技術も積極的に導入しディーラー不要のサービスを開発した。

 モディ政権は、貿易赤字解消のための石油の輸入を減らしたい。大気汚染も解消したい。EV普及率を30年までに30%に高める方針を掲げている。インドの自動車普及率は4輪車3.2%、2輪車12.3%と中国やASEAN諸国と比べて低く早めにEVシフトを進めないと、石油の輸入が増え、貿易赤字が拡大、環境悪化も進む。
 近距離タクシーとして使われる3輪EV、Eリキシャ(制限時速25km)の販売台数は年間10万台。一方、中~長距離の3輪ガソリン車のオートリキシャ(時速40~50km)の販売台数は年間50万台。インド政府は24年までに3輪車をすべてEV化するとしている。年間販売台数が440万台(18年)の4輪自動車も30年までに30%のEV化を目標に掲げている。減税やガソリン車規制を強化。ガソリン車の消費税28%に対し、EV車の消費税を5%に下げた。排ガス規制BS4をBS6に強化。
 充電ステーションはまだないが、近距離の3輪なら走行距離も100km以下で、1日1回程度の自宅のコンセントの充電で間に合う。これに加えて、インドでは流通、運輸のビッグデータが蓄積していて、日本などよりプライバシーの壁が相対的に低い。

 EV化への期待が一機に加速している。メイクイン・インディアへの完成車輸出の意味は大きい。煙を出さずに電気を作るためには原子力も必要になってくる。

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