【インドの州】8:ハリヤーナー州

州都はチャンディーガル。グルガオンでもグルグラムでもない。1966年にパンジャーブ州から分離した。パンジャーブ州西部でパンジャーブ語が主要言語。1947年のインド・パキスタン分離独立の際、パンジャーブ州の中心地ラーホールがパキスタン側になり、新たに州都を建設する必要が生まれた。結果、ハリヤーナー州はヒンディー語が主要言語になった。チャンディガールは二州の境界上にあり行政上は独立した連邦直轄領の一つでもある。

#パンジャーブ州から分離

ハリヤーナー州はデリーを三方から囲んでいる。マハーバーラタのクルクシェートラの戦いの舞台となったクルクシェートラもハリヤーナーの都市。

#女神が造った都市

州都のチャンディーガルは、パンジャーブ州とハリヤーナー州の両方の州の州都を兼ねている。ル・コルビュジエによる都市計画で国際的に知られる。ル・コルビュジエの世界遺産の一部にもなっている。ヒンドゥー教寺院で祭られていたチャンディー女神に由来。チャンディガールとは「チャンディーの砦」を意味する。街の愛称は”City Beautiful”。建物は幾何学形態の構造をした素材を誠実に使う建物はラフな打ち放しコンクリートとして表現されチャンディガールの建物の特徴となった。2007年7月15日にはインド初の公共空間での喫煙禁止条例が施行。喫煙者は厳しく罰せられる。

#日本人が暮らす町

グルグラムはグルガオンのこと。デリーの南西約30kmに位置する。グルはヒンドゥー社会における「師」、グラムは村の意味。2016年4月12日、ハリヤナ州政府のスポークスマンが、都市名をグルガオンからグルグラムに変更すると発表した。インドでは地名の変更は多い。変更なのかもとに戻るのかいろいろあるが。
デリーに近接し物流拠点として交通インフラがありコカコーラ、ペプシ、BMW外資系企業がインド本社を構え高層ビルが立ち並ぶインドとは思えない町の景観を作っている。多数のショッピングモールがあり、日本人も暮らしやすい街。しかし2019年、グリーンピースなどが発表した世界3000都市の空気質指数データで最も高い数値を示した都市がグルグラム。グルグラムには、デリーから直通し東西に横切るデリー・メトロイエローラインと南北に走るラピッド・メトロが高架を走行。カレーのココイチも進出。

#インディラの夢

グルグラムでの産業の始まりは、1970年代にスズキのインド法人「マルチ・スズキ・インディア」が自動車製造工場を設立したのが始まり。当時の首相インディラ・ガンジーの次男、サンジャイ・ガンジーが工場を設計した。英国で自動車工学を学んだサンジャイが七一年に「国民車構想」を掲げ「マルチ・モーターズ」を起こしたが八〇年に飛行機事故で三十三歳で死去。息子の遺志を継ぎ、母のインディラが会社を国営化し八一年にマルチ・ウドヨグ(現マルチ・スズキ)を設立し海外企業と車を生産する計画を進めた。スズキは日本仕様ジムニー・シエラをインドのグルガオン工場でインド製ジムニーとして生産、輸出を開始した。インド産ジムニーは、主に中南米、中東、アフリカなどを仕向け地とする輸出専用モデルとのこと。時代の流れを感じる。

#イケアの進出

もう一つ外国企業の話題といえば家具大手イケア。インド・ハイデラバードに1号店を進出させたスウェーデンの家具大手イケアは40都市以上への進出を計画とされていた。グルガオン出店は計画修正で遅れがでたようだが、巨大な消費市場で、日本と違って広い家が多いインドでの家具ビジネスは注目。外国企業の進出をどこまで許すのかを見るうえでも注目。

駐在のころは生活する場所としては、モールもメトロもまだほとんど何もない町だった。

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