プラスチックとガンディー

モディ首相は2019年9月9日、国連砂漠化対処条約の締約国会議で演説し「数年のうちに使い捨てプラスチックを廃止する」と述べた。「プラスチックごみは健康を害するとともに、農業にも悪影響を与える。インドは、環境に優しい代替品の開発とプラスチックの回収に取り組んでいる。世界もプラスチックに別れを告げる時がきている」マハトマ・ガンディーの誕生日の10月2日からレジ袋やストロー、ペットボトルなど6種類の使用を全国的に禁止する方針。インドは国民1人当たりのプラスチック消費量はアメリカの1割ほど。インドは自然のものを大切にする国だ。

 2022年までに国内のすべての使い捨てプラスチックを廃止し、デリーの都市部での即時禁止というモディ首相が発表した計画は、これまでプラスチック汚染に取り組むための行動をとることを約束してきた多くの国の中で最も野心的なものとなっている。
「選択は簡単ではないかもしれない。しかし、意識、技術、真のグローバルパートナーシップを通じて、正しい選択ができる。プラスチック汚染を克服し、この惑星をより住みやすい場所にする」とモディ首相。
 世界環境デーを記念して発行された国連の報告書は、ガラパゴスでの使い捨てプラスチックと、スリランカの発泡スチロールの禁止、中国での生分解性バッグの宣伝など、50カ国以上がプラスチックの削減に取り組んでいると指摘している。しかし、現実には、毎年何百万トンものプラスチックが海に侵入し、野生生物や人間の食物連鎖を脅かしている。マイクロプラスチックは、世界中の水道水と人間の食物にも含まれているのが実情だ。世界経済フォーラムの報告書によると、2050年までに海で魚よりも多くのプラスチックが存在することになるという。課税による規制なのか。生産者責任なのか。リサイクル促進のインセンティブなのか。ビジネス界の幅広い協力と関与が必要だ。
 東日本大震災では、漂流物が対岸のアメリカ西部に流れついた。国境を越えた問題解決の枠組みが必要になる。国連環境部長のエリック・ソルハイムは、世界は「プラスチックの災難の端」にあると指摘し、インド政府が発表した新しい計画を称賛した。ソルハイムは、スリランカ和平で知られる無頼漢で大事なことは直言する。「インドは、政治的動機を現実の動きに変える行動力がり、世界を刺激し発火させる本当の変化を生んでいる」インドは海洋ごみ対策キャンペーンとして沿岸水域に流入するプラスチックの量を測定するプログラムを発表している。タージ・マハルなど100の国の史跡からごみをなくし生まれ変わらせるとしている。

 モディ首相が8月15日の独立記念日に行った演説を受け、現実の動きが加速している。
インドの国鉄は、使い捨てプラスチックの原則、使用をやめる。その開始日は、マハトマ・ガンディーの誕生日である10月2日だ。国営航空エア・インディアも、2019年8月29日、機内での使い捨てプラスチック製品の使用を同じ10月2日から禁止すると発表した。機内食提供時にプラスチック製のカップやストローの使用を取りやめ、紙製のものに変える。オンライン通販各社の包装材もプラスチックの使用をやめるということだ。成長市場のインドの宅配業界でのこの方針は意味も量も大きい。ジェトロの報告は、インドの紙コップメーカーを買収した日本製紙の例があるように、「関連ビジネスを生業とする日系企業にもビジネスチャンスが生まれそうだ」と指摘している。4

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