インド株

インド株への注目が高まっている。2019年9月に法人税率を35%から25%へ引き下げ、海外からの投資を募ってきたインド経済だが、成長率は5パーセントにまで下がり、シャドーバンキング問題とその取り付け騒ぎ、ムーディーズ格下げ、それらが株式に跳ね返っている
 発端はノンバンク。銀行の総資産の69%を占める国有銀行は特定大口の貸付先と癒着し焦げ付きが問題となっていた。融資基準を厳格化したことを契機に、大口の借り手がノンバンクへの借り換えを進め、不動産を中心に貸付が増えていた。ところが2019年9月にシャドーバンクのひとつPMCが大口貸付先の焦げ付きから政府に接収。政府が預金の引き出しを制限したため、預金者がパニックを起こして窓口に殺到する取り付け騒ぎに発展した。官も民も貸してくれない、という状態のインド経済全体に金詰り感は、住宅ローンや自動車ローン、法人融資に広がり、自動車や建設が冷え込む展開となった。格付け機関ムーディーズは、2019年11月8日にインドの長期ソブリン格付け見通しを「ネガティブ」に引き下げた。

 政府予算に失望感が広がりインド株が連日安となったこともある。第2次モディ政権の予算案発表後、主要株価指数であるSENSEXは2営業日続けて下落した。選挙で公約したインフラ投資以外は目新しい景気刺激策がないと受け止められたからだ。2019年7月8日、ムンバイ証券取引所のSENSEXは、2%安の3万8720台となり、15営業日ぶりに3万9000台を割り込んだ。銀行や自動車を中心に売られた。ナショナル証券取引所のNIFTYも2%下落した。いずれの指数も1日の下落幅としてはこの年最大。
 モディ政権は2019年5月の総選挙で「インフラ投資に5年で100兆ルピー」を公約。総選挙後初の予算案で、歳出総額を27兆8千億ルピー(約43兆円)と前年度より13%増やした。5年間で約8000億ルピーを投じ、12万5000キロメートルの道路を整備することや鉄道網の拡充を打ち出したが、目玉となる景気対策はないと受け止められた。自動車業界が求めていた税率の引き下げは盛り込まれず、逆に自動車部品の輸入関税が引き上げられるなどしたため、市場の受け止めは冷ややかだった。

「野村 インド株投資」からの資金流出が報じられている。「19年は656億円の純資金流出となり、678億円の流出超過となった18年に続いて2年連続の流出超過となった。モーニングスターカテゴリー「国際株式・インド(為替ヘッジなし)」内でも2年連続で流出超過額が最大となった」とのこと。「インド株式市場の上昇が続く一方で、ノンバンクの資金繰り悪化や民間消費の低迷などから経済の減速傾向が強まっており、利益確定目的の換金売りが広がったとみられる。中でもカテゴリーを代表するファンドとして大幅に資金が流入していた同ファンドには、売り圧力が膨らんだとみられ、また、直近1年のリターンの鈍化が売り圧力を強めた可能性もある」と分析している。

 インド株に日本から投資する方法は難しくない。証券各社が銘柄や購入方法を紹介している。発展途上国の中で注目されている国インドを対象に資産運用・投資を行なおうという人が多いからだ。 インドの代表的な株価指数であるSENSEX指数は2020年2月21日時点で41,170.12。10年のスパンでみても明らかなように一貫した右肩あがりで二倍になっている。SENSEX指数は、「BSE SENSEX」や「SENSEX30」とも呼ばれ、ムンバイにあるボンベイ証券取引所(BSE:Bombay Stock Exchange)に上場する銘柄のうち、流動性・取引規模・業種等を代表する30銘柄で構成される時価総額加重平均指数。株価の変動を総合的に表示するための基準時点の株価水準を100(1978-1979年の時価総額を100として算出され、公表開始は1986年)とし、比較時点の株価水準を指数化している。銘柄選定には企業規模だけでなく浮動株の時価総額なども勘案され頻繁に銘柄が入れ替えられる。業種面では金融と情報通信の比重が大きく、また財閥系の企業が多い。
 ボンベイ証券取引所は、1875年に設立されたアジアでも歴史がある証券取引所。日本・上海・香港の証券取引所の時価総額に続く規模となっている。ボンベイ証券取引所(BSE)とともに有名なインドの代表的な市場はであるナショナル証券取引所(NSE)に上場されている銘柄で構成されているのがNifty指数。50銘柄で構成されるが、ボンベイと同じ銘柄が登録され傾向も似ている。ナショナル証券取引所は、1994年に運営を開始した。
 インドの個別銘柄は当局の規制で外国人は直接投資できないが、株式指数に連動するETFかADRを購入することができる。ADR(米国預託証券American Depositary Receipt)は、インドで発行されている株式を米国の預託銀行が購入し、預かり証券である預託証券をアメリカの米国株式市場に上場する仕組みの間接投資。ETF(上場投資信託Exchange Trade Fund)は、日本の株式市場に上場しており、「上場インデックスファンドNifty50先物」や「NEXT FUNDS インド株式指数・Nifty 50連動型上場投信」があった。2012年の70円から2018年1月31日に179円を記録するなど好調だったが2018年11月12日に上場を廃止した。上場インデックスファンドNifty50先物も2012年の700円台から回復し、二倍以上になっている。
 SBI証券、楽天証券などからADRで投資できるのは、、具体的には、商業銀行のHDFC Bank、
ICIC Bank、IT企業のインフォシスInfosys TechnologiesとウィプロWipro、製薬会社のレッディーズDr.Reddy’s Laboratories、ネット企業のSify Technologies(上場はNYSEではなくNASDAQ)、インド国内二位の自動車メーカーTata Motors、石油や鉄鉱石などの総合資源会社Vedantaなどがある。

 長期にみるとあとからくる波が低迷や減速を押し流す。心配するのも楽しいが、インド株は元気だ。

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