コロナ禍の外出禁止で家にいる男性は家事をしなさい、モディ首相への陳情は、ジェンダーバランスと出稼ぎ労働者のメイドの居場所も変えていることの現れ。
家事代行でインド女性の自立と子どものサポートを目指す日本人がいる。ボーダレスジャパンのインド事業担当の水流早貴さん。NHKでも特集した。1992年生まれ。岐阜県出身。都留文科大学卒業。学生時代にインド現地企業・NGO、フィリピンの社会的企業でインターン。2016年パーソルキャリア株式会社入社。人材紹介事業で法人向けの採用コンサルティングに従事したあと、退職し、ボーダレスジャパンに入社し、2019年7月よりインドに渡った。。
インドではスラムで学歴やスキルがなく低賃金で働かざるを得ない女性が多い。高度人災の家政婦としてのマナーや掃除スキルのトレーニングを行う。インド人も富裕層が増えているが、家主は気に入らなければ解雇することができる。明日から来なくていいよと言われ職を失う。家族が苦しむから何でもいうことを聞くことになる。尊敬される職業でもある西欧の執事やベビーシッター、ハウスキーパーとは質が根本的に違う。インドでのメイドという職業は社会的地位が低い人の仕事と認識されている。家主にやれと言われたことに逆らえない。雇用契約はあいまいで不当な条件で働く女性も少なくない。
インドにはやりたいことを実現できない理不尽がある。社会課題に取り組む社会起業家の伸びしろは大きい。 家事代行サービスは家事・子育てなど、本来女性が持っている母親としての強みを活かすことができる。それに付加価値をつけ収入に結び付ける。都市部の共働き世帯は信頼できるメイドを必要としておりビジネスとして成立する。水流さんは家事代行サービスの会社「SAKURA Home Service」を経営する。
コロナ禍が変えようとしているのが、家事の位置づけ。「モディ首相、男性に家事をシェアさせてください!」。インドの家のジェンダー地図を塗り替えようとしている。インドの家事は通常、多くの重労働を伴う。西洋とは異なりインドの家には多くの場合、食器洗い機、掃除機、洗濯機がない。食器は一つ一つ手洗いし、衣類はバケツで洗って干し、大きな家の隅々までをほうきで拭いて雑巾で拭く。さらに子供の世話と高齢者。何百万もの中流階級の家々で、家事は雇われたヘルパーの仕事。パートタイムの料理人、掃除人、乳母。
新型コロナウイルスの全国的な封鎖で、これなくなった。家に入れなくなった。困った末に、首相への陳情だ。ハダ(ほうき)の柄には、「女性だけが操作する」という言葉が印刷されていますか?」。change.orgで公開された請願書。「洗濯機やガスレンジのマニュアルはどうですか?では、なぜほとんどの男性が家事の分担をしていないのですか?」。首相が次の演説でこの問題に取り組みすべてのインド人男性に平等な行動をとるよう奨励することを望んでいる。請願には、70,000近くの署名が集まった。
国際労働機関の報告書、2018年に都市部のインドの女性は312分の無給の介護の仕事で一日を過ごした。男性は29分。農村部では、女性は291分、男性は32分。
ロックダウン。シンクは食器で溢れ、洗濯物の山は大きくなった。夫が家事の手伝い。
インドは、家父長制社会。女性は完璧な主婦になる教育を受ける。インドの女性は仕事も持つ。家事と仕事の両方を管理する「二重の義務」。
モディ首相なら耳を傾けてくれると思ったのか。ソーシャルメディアでは批判された。首相を「軽薄な問題」で悩ませるな。
伝統的に、インドでは男女が一緒に食べることは奨励されていないこともまだまだ多い。男性と子供が最初に給仕され、その後初めて女性が座って食事をする。何百万もの貧しい家で、この習慣は意図しない結果をもたらしました-女性の間の栄養失調。運動家が女性に家族の後ではなく家族と一緒に食べるように促している。
コロナウイルスのインドの封鎖がメイドを巡る議論を引き起こした。出稼ぎメイド労働者は仕事に戻ることができると言ったが、家の中に労働者を中に入れるかどうか?。家事をするのは、メイドか夫。
公式の推定によると、中産階級の裕福なインドの家では、400万人を超える人々が家庭ヘルパーとして雇用されている。非公式の見積もりでは、その数は5000万。これらの労働者の3分の2は女性。
メイドとの関係は相互依存の1つです。極度の貧困は未熟練のスラム街の住人と農村部の貧困層に、生計を立てる手段としての家庭内援助。中産階級は安価で提供される家をスムーズに稼働させる労働力。
厳格な全国的な封鎖でメイド、コック、乳母、運転手、庭師なしで管理しなければならなくなった。
ボリウッドのスターは、自分のInstagramビデオを投稿し料理や掃除をする姿を発表した。「家内」労働者にマスクと手指消毒剤と一式の衣類を用意して働いてもらうのか、夫が働くのか。
インドの男性は紅茶も入れない?
インド映画『ムトゥ踊るマハラジャ』の主人公ムトゥは大地主のラージャに仕えるサーバントだった。「家内」労働者は多い。会社送迎用とマダムのショッピングのための専用車とドライバー。午後の多くを滞在するコック。ハウスキーパー。女性はメイド、男性はサーバントと呼ばれる。床拭きをするスイーパー。門番のチョキダールは24時間警備し、荷物や郵便物を運び入れる。給仕係のベアラ。ベビーシッターのアヤ。選択が専門のドビ。ガーデニングをするマリは庭師として水やりをし常緑の観葉植物用の管理をする。我が家にも総勢で7~8人がいたこともある。家が大きくても密になる。アヤは乳児、幼児と濃厚接触をする。おむつを替え、ミルクや離乳食を与え、抱いてあやす。
4000年の歴史が簡単に変わるはずもないだろうから、その変化の軌跡が見ものになる。