外出禁止3週間、新型コロナウイルスで配給を待つ苦境を乗り切るためのインド式「ケアモンガリング」

モンガリング”mongering“というと「商売にすること、利用すること、夢中になること」。”disease-mongering”は、病気を商売にすることで、製薬会社などが売上増加をはかるために、病気をことさらに大げさに取り上げようとすること。”fear-mongering”は、恐怖を利用する、つまり他国の脅威などの恐怖を大げさに取り上げて、自らの政策を有利に展開しようとすること。デマは、不安を悪利用するこことからスケアモンガリング”scare-mongering”という。配給を求めて人々が列をなす状況に陥っているインドで注目されているのが、思いやりを拡散するケアモンガリング”care-mongering”だ。

 ルーモアモンガリング “rumor mongering”では新しい情報を得た参加者がランダムに選んだ相手にその情報を伝える処理を繰り返す。相手がその情報をすでに知っていたという状況が繰り返されると情報の伝達を停止する。一部の参加者に情報が伝わらないことがあるが、効率は良い。つまり拡散が早い。

 噂のやっかいなところは、本当になるかもしれないところだ。インドがウイルス拡散を封じ込めるためにロックダウン、封鎖状態に入るという情報が、「偽」の情報としてファクトチェックされていた。当該の音声クリップは不安を煽るもの拡散しないようにと注意されていた。

 ベンガルール在住のインド人女性が、新型コロナウイルスで苦境に陥る人を支援するためのグループケアモンガー・インディアCaremonger Indiaを立ち上げた。若いボランティアが助けを求める高齢の人々をサポートする。高齢者向けの医薬品や必需品を手に入れる人を探す。Facebookで一気にメンバーが拡大し、電話のヘルプラインも設置した。

 マヒタ・ナガラジ(Mahita Nagaraj)さん(38歳)は、きっかけは海外に住んでいる友人から、ベンガルールの両親に薬を届けるように依頼されたこと。人々が根拠のない情報を転送することに夢中になっているとき、その日を越せない人を救うために尽力する動きは大切だとインドのメディアも伝える。世話をするという考え方が、人々の恐怖というパンデミックへの処方箋だという。

 インド保健・家族福祉省のラブ・アガルワル次官補は2020年3月26日、17州の政府が新型コロナウイルスに感染した患者向けの専門病院の選定を開始したと明らかにした。

 インドの医師は1万人あたり8人で、イタリアは41人、韓国は71人。国営病院ひとつあたりの人口は55,000人以上。私立病院はほとんどの人にとって手の届かないところにある。検査の習慣は乏しく、インフルエンザの症状になると医者に行くのではなく薬局に行く。医療従事者、人工呼吸器と集中治療ベッドが不足する。「スペインより2週間遅れ、イタリアより3週間遅れている」との指摘もあった。

タミルナド州政府は、医薬品の原薬(API)に特化した工業団地を設置する計画を明らかにした。インドは、APIを中国などからの輸入に頼っている。 新型コロナウイルス感染症の影響で、APIの供給が停滞するとした懸念の高まりがあるとされる。製薬はインドの重要な輸出品でアメリカから外貨を稼いできた。

 インド政府は2020年3月26日、新型コロナウイルス対策として22日から29日までの予定で実施してきた国際線定期便の発着停止を4月14日まで延長すると発表した。

 感染拡大でドルが急騰している。インドが返済しなければならないドル建て負債が重くのしかかる。ブルームバーグはインドネシア、インド、マレーシアを通貨危機が発生する恐れのある危険地域に挙げた。財政赤字が増えやすく、対外投資への依存度が高いため、金融市場が脆弱だからだ。工場や事業所の閉鎖で資金繰りが悪化すれば保有資産を売って現金を確保しようとする動きが加速する。

 インド自動車工業会(SIAM)が2020年3月13日に発表した2020年2月の自動車統計によると、乗用車販売台数前年同月比7.6%減の25万1,516台で、伸びは4カ月連続の低下。最大手マルチ・スズキは13万3,702台、2位の現代自動車、4位のタタ、5位のマヒンドラも軒並み低下。小型SUV「セルトス」で中国の起亜自動車が3位に浮上した。中国からの部品供給の停滞も懸念材料だ。

 影響が拡大すると情報の重要性は増す。行動に結びつく情報とそうでない情報。

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